研究課題/領域番号 |
19K21581
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中村 和利 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70207869)
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研究分担者 |
渡邊 裕美 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50325479)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | リピドミクス / 尿 |
研究実績の概要 |
2019年度は、それぞれアルツハイマー病(AD)患者9例と認知機能健常高齢者9例からなる2グループ(Set1, Set2)の尿計38検体を用い、尿中の脂質分子種の探索(リピドミクス)を質量分析により行った。Set1の患者群は新潟大学医歯学総合病院神経内科外来にてADと診断された患者9人(60~79歳、男性3人、女性6人)、対照群は村上コホート研究参加者でMini-Mental State Examination(MMSE)による認知機能検査を受け、正常と判断された者のうち、各患者と性・年齢をマッチさせた者9人である。Set2は、Set1と同様の手続きの患者9人、対照9人(男性4人、女性5人)である。リピドミクス解析の予備的解析から検出されることが予測されたフォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルセリン、スフィンゴミエリン、アセチルカルニチンのほかに、新たに、セラミド、セラミドリン酸、ビスフォスファチジン酸、トリグリセリド、ジアシルグリセロールなどが検出され、脂質クラスとして12クラス、脂質分子種として81種類の化合物が検出された。各化合物の定量値を質量分析の検出ピークの面積値を内部標準物質、および各資料のクレアチニン濃度で補正することで得た。Set1,set2で共通して有意に増加、減少した代謝産物が少なかったことは、尿中脂質分子種の個人差が予想より大きく各群の検体数が十分でなかったと考えられる。そこで、患者群18検体、対照群18検体(60~79歳、男性8人、女性10人)として解析したところアシルカルニチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールの一部の分子種で患者対照間で有意に差があるものが見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していた尿リピドミクス解析を終了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は尿メタボロミクスの結果と総合した解析を行い、結果を取りまとめ論文化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
統計解析の一部を受託予定であったが、必要な解析方法を絞り込む必要が生じ、次年度使用となった。2021年度には次年度使用額と2021年度請求額を合わせた助成額を受託解析費用および、解析用ソフト購入、論文作成費用と投稿費用に使用する。
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