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2021 年度 実績報告書

火葬骨を”自然に土に還す”手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 19K21583
研究機関名古屋大学

研究代表者

南 雅代  名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (90324392)

研究分担者 加藤 丈典  名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (90293688)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワード火葬骨 / バイオアパタイト / 結晶性 / 炭素同位体比 / ストロンチウム同位体比 / 分解
研究実績の概要

骨は、バイオアパタイトを主とするリン酸カルシウム結晶とコラーゲン繊維を主とする有機分子からなる構造をしている。バイオアパタイトは、アパタイトのリン酸基あるいは水酸基が炭酸基に置換した形で存在している。このため、アパタイト結晶のサイズがナノメートルサイズに抑制され、土壌中で自然に分解されやすい状態にある。火葬骨は高温で加熱されることにより、バイオアパタイトがヒドロキシアパタイト化し、土壌中で分解されにくい状態にある。本研究では、この分解しにくくなっている火葬骨を、強力な酸・アルカリによって急激に分解するのではなく、徐々に分解する手法を見出すことを目的としている。
骨の結晶構造に他の元素が入り込むことによって、アパタイト結晶のサイズが広がり、分解しやすくなる現象を明らかにするべく、2019年から1年間、現生骨をいくつかの温度で加熱したものを、質量数84のストロンチウム(S)同位体が濃縮したスパイクを含む炭酸ストロンチウム溶液に浸す実験を行い、順次、骨を溶液から取り出し、2021年に元素濃度測定を進めた。同位体比測定に関しては、現在、測定を始めており、論文の準備を行っている。
また、2020年、ヒドロキシアパタイトの水酸基のサイトに炭酸基を置換させる促進剤として炭酸カルシウムを共存させる実験を計画し、炭酸カルシウムに弱酸を加えて密閉内で二酸化炭素を発生させ、それを抽出するための反応容器を製作した。この反応容器は、天然水の溶存炭素の分析にも有効であり、いくつかの基礎実験を行い、論文に公表した。今後、この容器を用い、いくつかの酸を用いて、骨を徐々に分解させる実験を行う予定にしている。
室内実験だけでなく、火葬骨がどのように変質・分解していくのかを調べるために、遺跡から出土した考古人骨や、炭酸塩コンクリーション試料に対して、周辺の埋没土壌からの元素の取り込みについて調べた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Glendonite concretion formation due to dead organism decomposition2022

    • 著者名/発表者名
      Muramiya Yusuke、Yoshida Hidekazu、Minami Masayo、Mikami Tomoyuki、Kobayashi Toshinori、Sekiuchi Kousuke、Katsuta Nagayoshi
    • 雑誌名

      Sedimentary Geology

      巻: 429 ページ: 106075~106075

    • DOI

      10.1016/j.sedgeo.2021.106075

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A SIMPLE CO<sub>2</sub> EXTRACTION METHOD FOR RADIOCARBON ANALYSES OF DISSOLVED INORGANIC CARBON IN WATER SAMPLES WITHOUT A CARRIER GAS2021

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Hiroshi A、Handa Hiroko、Minami Masayo
    • 雑誌名

      Radiocarbon

      巻: 63 ページ: 1339~1353

    • DOI

      10.1017/RDC.2021.48

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 名古屋港海底泥中に見つかる炭酸塩コンクリーションの形成年代2022

    • 著者名/発表者名
      隈 隆成・浅井沙紀・吉田英一・南 雅代
    • 学会等名
      第33回(2021年度)名古屋大学宇宙地球環境研究所年代測定研究シンポジウム
  • [学会発表] 名古屋大学タンデトロンAMS14Cシステムの現状と利用2022

    • 著者名/発表者名
      北川浩之・南 雅代・酢屋徳啓・池田晃子・隈 隆成・山根雅子・西田真砂美
    • 学会等名
      第33回(2021年度)名古屋大学宇宙地球環境研究所年代測定研究シンポジウム
  • [学会発表] 土壌資料のSr同位体分析より推定する立部遺跡火葬墓ST2005の成り立ち2022

    • 著者名/発表者名
      若木重行、南雅代、佐藤亜聖、樫木規秀
    • 学会等名
      第33回(2021年度)名古屋大学宇宙地球環境研究所年代測定研究シンポジウム
  • [学会発表] 滋賀県敏満寺遺跡出土火葬骨のマルチSr同位体比から探る中世の文化2021

    • 著者名/発表者名
      澤田 陸・若木重行・南 雅代
    • 学会等名
      日本質量分析学会同位体比部会2021
  • [学会発表] 火葬骨のSr同位体比と微量元素濃度比から探る中世の人々の食性2021

    • 著者名/発表者名
      澤田 陸・若木重行・南 雅代
    • 学会等名
      2021年度日本地球化学会第68回年会
  • [学会発表] AMS 14C分析の温故知新2021

    • 著者名/発表者名
      南 雅代
    • 学会等名
      2021年度日本地球化学会第68回年会

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公開日: 2022-12-28  

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