研究課題
脳Aβ蓄積をきたすモデルマウスを用い、老化に伴うAβ蓄積のリスクに関与する加齢依存的循環因子を探索するため老若固体の並体結合を行った。脳Aβ蓄積の開始月齢が明らかにされているヒト化変異型Aβ前駆体タンパク質ノックイン(APP-KI)マウスと緑色蛍光全身発現GFP-Tgマウスを用いた。令和3年度は、APP-KI マウスとGFP-Tgマウスにつき、老若種々の組み合わせで並体結合を行い、並体結合APP-KIマウスの脳Aβ蓄積を定量的に評価し取りまとめた。その結果、若齢マウスとの並体結合により老齢APP-KIマウスの脳Aβ沈着は明瞭に抑制された一方、老齢マウスとの並体結合により若齢APP-KIマウスの脳Aβ沈着は明瞭に増加した。同齢マウスと並体結合したAPP-KIマウスの脳Aβ沈着は並体結合しなかった対照マウスと有意な差がなかった。いずれも、GFP陽性細胞の浸潤は認めなかった。これは、若齢マウスには脳Aβ蓄積を制御する循環因子が存在すること、逆に老齢マウスはAβ蓄積を促進する循環因子をもつことを示唆した。さらに、若齢マウスと並体結合した老齢APP-KIマウスの脳(A)、同齢マウスと並体結合したAPP-KIマウスの脳(B)および老齢マウスと並体結合した若齢APP-KIマウスの脳(C)から網羅的RNA-Seq解析を行い、発現レベルが(A)<(B)<(C)ないし(A)>(B)>(C)であった分子を抽出し、定量的リアルタイムPCR解析にて確認することにより、10候補因子の同定に成功した。これら分子は新たな治療標的になる可能性があると推測されることから、さらに詳細な機能解析や臨床検体を用いた解析を進めている。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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