研究課題/領域番号 |
19K21587
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 友美 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (00637077)
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研究分担者 |
野瀬 光弘 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携研究員 (00568529)
笠原 順子 杏林大学, 保健学部, 講師 (40737540)
藤澤 道子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携准教授 (00456782)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 介護予防 / 地域在住高齢者 / 共食 / 包括的健康度 / 地域間比較 |
研究実績の概要 |
本研究は、地域における共食プログラムを実施し、高齢者の介護予防の観点からどのような効果がみられるかを検証することを目的とする。介護予防への効果としては、栄養、心理、身体機能という包括的な健康度の指標を用いて疫学的手法を軸に分析する。また、介入前後において高齢者自身が共食をどのようにとらえ、食環境を含めた生活背景にどのような変化がおこったかに関して質的インタビューによって分析し、量的な効果検証と合わせて考察することで、地域での共食の意義を明らかにするものである。 本研究は3年間の計画で、今年度はまず、高知県土佐町と京都市右京区(高齢者住宅)において、それぞれ約300人、約100人を対象に総合機能健診を実施した。この健診では、運動機能、心身の健康度および認知機能、栄養状態、口腔機能(歯科)に関する検査・診査を実施し、共食や食欲等の食習慣だけでなく包括的な健康にかかわるデータを収集した。さらに、京都市右京区の高齢者サロンにおいて、食生活と包括的健康度に関するアンケート調査およびインタビューを20名対象に実施した。このアンケート調査からは、現在の食事状況と過去の食事(行事、食を通じだ地域のつながり、農業などの活動、食品入手)を把握するとともに、これをもとに質的インタビューを実施し、食態度や食の交流による心理的変化、食の伝承について分析した。これらをふまえ、京都市右京区の高齢者サロンにて、試験的に「共食会」を2回実施した。この参加者らへのインタビュー調査を引き続き実施していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は総合機能健診によって、共食や食欲等の食習慣の状況とともに、運動機能、心身の健康度および認知機能、栄養状態、口腔機能(歯科)に関するだけでなく包括的な健康にかかわるデータを100~300人の規模で収集することができた。さらに、京都市右京区の高齢者サロンにおいて、食生活と包括的健康度に関するアンケート調査およびインタビューから、食態度や食の交流、食の伝承について分析し、これをふまえた「共食会」を企画し、実施した。しかしながら、3月上旬に予定していた3度目の共食会については、新型コロナウイルス感染症の拡大の懸念から、実施を延期した。その後、共食会の参加者へのインタビュー調査も、現状では実施できない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、実際に地域の高齢者らを対象とした「共食会」を実施し、その効果を検証する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、高齢者を対象とした共食会および健診の実施が困難な状況である。特に、本研究は高齢者を対象とするため、高齢者本人の「共食」に関する心理的な抵抗感もみられる。現地の協力者らと連携を取りながら、アンケート調査の実施などの可能な範囲で現状のフォローに努める。また、共食会や調査ができない場合には、2019年度に取得した量的・質的データをまず分析することに重点をおき、現在までに入手したデータを用いて論文執筆を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
「共食会」を実施し、その効果を検証するものである。しかしながら、2020年3月に予定していた3度目の共食会については、新型コロナウイルス感染症の拡大の懸念から、実施を延期した。その後、共食会の参加者へのインタビュー調査も、現状では実施できない状況にある。 本研究は高齢者を対象とするため、高齢者本人の「共食」に関する心理的な抵抗感もみられる。また、2020年度は、高齢者の総合健診の実施も困難な状況である。現地の協力者らと連携を取りながら、アンケート調査の実施などの可能な範囲で現状のフォローに努める。
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