研究課題/領域番号 |
19K21587
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 友美 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (00637077)
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研究分担者 |
野瀬 光弘 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携研究員 (00568529)
笠原 順子 杏林大学, 保健学部, 講師 (40737540) [辞退]
藤澤 道子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携准教授 (00456782)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 共食 / 孤食 / 地域在住高齢者 / 介護予防 |
研究実績の概要 |
本研究は、食を通じた介護予防として、地域のなかで共に食事をとる「共食」によって、高齢者の健康度にどのように影響を与えるかを包括的に調査・分析することを目的としている。 2021年度も引き続き新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響により、実際に高齢者が集って食事をする共食会を実施することが叶わなかった。そこで、前年度から方針を変更して開始した「スマホ食事クラブ」(スマートフォンのアプリケーションであるLINEを用いて、その日の食事の内容や調理法等の写真および情報を共有するグループチャット)による食の共有の観察およびインタビューを通じて、量的および質的分析によって参加者らの包括的健康度および食事摂取の状況に関する分析を行った。その成果として、スマホを用いた食の共有が高齢者のQOLや食態度に与える影響について執筆した論文が国際誌に掲載された。 また、コロナ禍において、地域在住高齢者は日常生活の変化をどのように経験したかに関する質的研究を通じて、社会参加の機会が減少した状況下における活動の工夫や形を変えた人的交流のあり方に関する語りから、共食の可能性を探求した。介護施設に併設された食堂を活用した共食がみられる2施設においてインタビューを実施し、その取り組みをまとめ、事例報告として学術誌にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度も引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により、高齢者の共食会の実施には至らなかった。一方で、計画を変更して実施した「スマホ食事クラブ」のバーチャルな取り組みを分析し、論文としてまとめ査読付き学術誌に掲載された。他にも、過去に習得したデータを用いた研究や、コロナ禍での高齢者の生活変化に注目した研究を実施し、論文執筆を進め、査読付き国際誌に計4本、事例報告1本が掲載される等、成果を報告している。
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今後の研究の推進方策 |
本課題は2022年まで延長し、高齢者の共食の状況について調査を進める。2022年度も、新型コロナウイルス感染症の影響は収まっていないものと想定し、高齢者が実際に集まって食べる会を催すという介入は変更せざるをえない。そこで、調査地域(高知県土佐町)において、高齢者の共食に関わる状況(食態度や共食の相手、外食等)がどのように変化したのかという点に注目をしたフィールド調査を実施し、その健康度への影響を分析する。感染症パンデミック下における高齢者の食の実態把握は、このような状況下において懸念される高齢者のフレイルやサルコペニアへの介入を考えるうえで重要な調査といえる。これらの調査結果を可能な限り年度内に分析し、地域の社会福祉協議会などにフィードバックすることで、地域の介護予防事業に貢献したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響から、予定していた共食介入が実施困難であったため。
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