研究課題/領域番号 |
19K21588
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
増本 康平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20402985)
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研究分担者 |
塩崎 麻里子 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (40557948)
原田 和弘 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50707875)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 高齢者 / 意思決定 / 自律 / 認知バイアス |
研究実績の概要 |
人の思考は合理的ではなく,選択や判断の際には認知バイアス(非合理的な選択の偏り)が生じる。特に高齢期では加齢に伴い合理的判 断の基盤となる認知機能が低下するため,どれだけ客観的・合理的な情報であっても認知バイアスを考慮した情報提示でなければ,適切な判断や行動に結びつかない。しかしながら,高齢者の自律支援において,どのような情報提示のあり方が最適なのかついて,十分な検討がなされておらず,確立された手法も存在しない。本研究の目的は,1)認知機能の低下の影響を受けにくい情報提示方法,2)満足でき後悔しない選択のための情報提示方法,3)過剰な影響を排除し自律を阻害しない情報提示方法の3つを検討することである。 2020年度はCOVID-2019の影響で感染リスクの高い高齢者を対象とした対面での実験を実施することができなかった。 そのため制限された環境ではあるが,WEBを介した実験を試行した。20歳から70歳代の200名(平均年齢は39歳(SD=9.1))を対象とし,1)ウェブサイトの内容と,バナー広告の内容の関連性が高い程,閲覧者がバナー広告に対して抱く信用度も高くなる(コンテキストプライミング効果)のかについて,2)情報リテラシーとバナー広告に対する信用度との関連性について,検討した。 実験の結果,年齢,男女関係なく,ウェブサイトを閲覧した際にそのサイト内容に関連性が高いバナー広告に対して,より興味を抱き,信用し,好感を持ち,説得力を感じ,購買意欲が高まっていた。また,「ウェブ情報の信憑性判断時に生じうる認知バイアスへの耐性」があればあるほど、ウェブサイト上のバナー広告に対する信用度は低くなることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-2019の影響で感染リスクの高い高齢者を対象とした実験を実施することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は感染状況によるが,感染防止対策を徹底して,実験を実施することが可能となるため,計画通りに研究を遂行していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属部局では,COVID-2019の感染リスクの高い高齢者を対象とした対面での実験が禁止されていたため,使用額が少なかった。2021年度は禁止が解除されたため,遅れている分も含めて計画通り予算を執行する予定である。
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