研究課題/領域番号 |
19K21590
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福田 治久 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30572119)
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研究分担者 |
岩本 哲哉 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (40782412)
松尾 龍 九州大学, 医学研究院, 助教 (60744589)
鴨打 正浩 九州大学, 医学研究院, 教授 (80346783)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 健康寿命 / 健康格差 / 医療レセプトデータ / 介護レセプトデータ / 特定健診 / 保健事業 / 予防医療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,「研究① レセプト・健診・予防事業実施者リスト等を連結可能なプラットフォーム開発」,「研究② レセプト等データベースを用いた合併症発生や健康寿命の予測モデルの開発」,「研究③ 予防的保健医療介護事業の有効性評価・経済性評価」,「研究④ 自治体による住民に対する積極的予防介入のためのシステム構築」の4研究を通じて,予防的保健医療介護事業が高齢者の健康寿命と生命寿命に及ぼす効果を明らかにすることである. 研究①では,(1) 医療・介護・生活保護レセプトデータ,(2) 健診データ,(3) 予防的保健医療介護事業実施者リストの各データを住民別に突合し,個人情報を削除し,統計解析に適したデータベース構造を開発した(LIFE Common Data Model:LIFE CDMと呼ぶ).また,2019年度中に17自治体から協力を得て,2自治体においてLIFE CDMに基づくデータベース化を行った. 研究②では,LIFE CDMに基づくデータベース研究のために,認知症,COPD,心不全を対象に,疾病罹患が医療費・介護費に及ぼす効果や所得格差や治療プロセスが健康アウトカムに及ぼす効果に関する研究を実施し,研究①で構築したデータベースの有用性を確認した. 研究③では,研究協力を得られた17自治体および現在相談中の自治体を対象にヒアリング調査を繰り返し,各自治体で実施されている予防的保健医療介護事業のリストアップおよび内容把握を行い,2自治体においてはLIFE CDMに格納可能な形式でデータベース化を行った. 研究④では,研究①~研究③までの,現状においては研究者が個別対応しているデータベース化およびデータ可視化を自治体内部で自動内製化するためのシステムを構築するために,自治体を対象にヒアリング調査を行い,要件・条件整理などを行い,システム開発の方向性を見出すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,地方自治体が保有する各種レセプトデータ等を住民単位で連結可能なプラットフォームを開発し,予防的保健医療介護事業が高齢者の健康寿命と生命寿命に及ぼす効果を明らかにすることである.具体的には,以下の3つを研究目的に掲げて実施している.(1)各自治体の医療・介護・生活保護レセプトデータ,特定健診データおよび予防的保健医療介護事業実施者リストを住民別に突合可能なデータプラットフォームを開発すること.(2)当該データを用いて,高齢な生活習慣病患者などを対象に,合併症発生確率や健康寿命を予測する統計モデルを構築すること.(3)当該データを用いて,予防的保健医療介護事業の有効性と費用対効果を解明すること. 2019年度中に,17自治体の協力を得て,自治体が保有する各種データを個人単位でリンケージ可能なデータプラットフォームの開発を完了することができた.また,実際に構築したデータベースを用いて,認知症,COPD,心不全を対象にしたデータ解析を行い,研究成果を上げることができた.したがって,本研究は順調に推移していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は,「研究① レセプト・健診・予防事業実施者リスト等を連結可能なプラットフォーム開発」,「研究② レセプト等データベースを用いた合併症発生や健康寿命の予測モデルの開発」,「研究③ 予防的保健医療介護事業の有効性評価・経済性評価」,「研究④ 自治体による住民に対する積極的予防介入のためのシステム構築」の4研究を通じて,予防的保健医療介護事業が高齢者の健康寿命と生命寿命に及ぼす効果を明らかにすることである. 「研究① レセプト・健診・予防事業実施者リスト等を連結可能なプラットフォーム開発」では,2020年度に30自治体程度より(1) 医療・介護・生活保護レセプトデータ,(2) 健診データ,(3) 予防的保健医療介護事業実施者リストの各データを収集し,LIFE CDMに基づいたデータベースを構築する. 「研究② レセプト等データベースを用いた合併症発生や健康寿命の予測モデルの開発」では,糖尿病および介護認定を対象に特定健診や過去の受診状況のデータから発症予測モデルを開発する.予測モデルは研究①で収集している過去5年間のデータを利用し,各自治体別に開発する. 「研究③ 予防的保健医療介護事業の有効性評価・経済性評価」では,主に特定保健指導および生活習慣病重症化予防プログラムを例に,事業実施群と未実施群との間での健康アウトカムおよび医療費・介護費の差異を統計学的に検証する. 「研究④ 自治体による住民に対する積極的予防介入のためのシステム構築」では,2020年度中にシステム開発し,実際に複数の自治体を対象にシステム導入までを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は10自治体程度でのデータ収集を目標にデータ加工費用として100万円を計上していたが,実際にはデータ収集が3自治体にとどまった.そのため,その他の費用を翌年度に繰り越し,2020年度上旬にデータ収集を実施する.
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