研究課題
超高齢社会を迎える現代、「社会的孤立」「孤独」は、自殺に並ぶ世界的最重点課題である。日本では思春期青年期に様々な契機で学校や仕事にいけず6ヶ月以上家庭内に留まる「社会的ひきこもり」の長期化・慢性化に伴い、中高齢のひきこもり者の増加が新たな社会問題と化している。我々は、若年成人のひきこもり者および大学生を対象とした血液バイオマーカー研究を主宰し、「社交回避傾向」「信頼感」「孤独感」に 関連する血液マーカーの予備的同定に成功している。本研究では、中高齢の健常者および中高齢うつ病患者を対象に、前向きパイロット研究として、構造化面接、社会的孤立・孤独に関連した心理 検査、各種血液検査(炎症系・代謝物など)「信頼ゲーム」など多軸的データを取得し、相関解析等により、中高齢者における社会的孤立・孤独の病態基盤、特に生物学的基盤を萌芽的に見出し、孤独対策のための将来の国家プロジェクト立案の礎にする。初年度(2019年度)は、健常者ボランティア対象の調査では数名のエントリーがあり、データを取得し、うつ病患者対象の調査でも数名のエントリーを完了し、第2年度(2020年度)にフォロアップのデータ取得を予定していたが、コロナ禍によるフォローアップの実施が難航し、少数のフォローアップしか実施出来ない状況となった。補うために、急遽、オンラインを用いたコロナ禍による社会的孤立に関する調査を立ち上げ、2020年6月と12月に中高年を含むボランティアの方々のデータ取得に成功した。オンライン実施のため、バイオマーカー取得はできなかったが、このオンライン調査により、社会的孤立における心理社会的影響が明らかになることが期待される。なお、中高年に限らないが、うつ病患者における信頼ゲームの結果から、社会的認知バイアスに血中アセチルコリンや血中ニコチン酸が関与することが明らかになり、Scientific Reportsに発表した。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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