研究課題/領域番号 |
19K21596
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
森 建文 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40375001)
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研究分担者 |
伊藤 修 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (00361072)
廣瀬 卓男 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (20599302)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | マイオカイン / 酸化ストレス / 腎障害 / 筋肉 |
研究実績の概要 |
本研究では、筋肉からマイオカインが血中に分泌され、マイオカインにより尿細管からの一酸化窒素(NO)産生が亢進し、腎髄質循環と低酸素が改善するという仮説を立てた。この仮説を検証するため、腎臓生理学的な動物実験、ex vivoライブイメージングおよび細胞実験を行うことを計画している。 腎臓生理学的な動物実験では、トレッドミル運動負荷ラットおよびコントロールラットより生理実験用の血清を採取した。運動負荷の影響を検討するため、マイオカインの1つであるアイリシンについて血清濃度をELISA法により測定したところ、トレッドミル運動負荷ラットで上昇していた。加えて、レーザードップラーによる腎局所血流測定の条件検討を開始し、アイリシンや血清の至適投与量の検討を開始した。 ライブイメージングでは、マイクロダイセクション法によりラット腎臓から近位・遠位尿細管、集合管を単離・培養するための条件検討を行い、至適条件を確立した。 細胞実験では、マウス腎皮質集合管由来培養細胞であるM1細胞の線維化を誘導するためにTGF-b1にて刺激し、アイリシンの投与の有無が与える影響を検討した。TGF-b1による刺激により、線維化タンパク質であるフィブロネクチンmRNAの発現が有意に上昇し、アイリシンはこのフィブロネクチンmRNAの上昇を有意に抑制した。加えて、上皮間葉形質転換のマーカーであるNカドヘリンについても、TGF-b1刺激により上昇したが、アイリシンはこの発現上昇を抑制した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は筋肉から分泌されるマイオカインが腎臓の髄質循環と低酸素状態を改善して腎保護につながることを明らかにするため、腎臓生理学的な動物実験、ex vivoライブイメージングおよび細胞実験を行うことを計画している。研究実績概要に記載した通り、それぞれのテーマについて概ね当初の計画通り実験が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画は順調に推移しており、次年度もこのまま研究計画に従い本研究課題を遂行する。現時点では研究計画の変更はなく、研究を遂行する上での問題点も見当たらない。
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次年度使用額が生じた理由 |
腎生理実験で使用予定の合成タンパク質の一部について納品の遅延が生じたため、次年度での支出とした。
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