研究課題/領域番号 |
19K21605
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小佐野 重利 東京大学, 相談支援研究開発センター, 特任教授 (70177210)
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研究分担者 |
亀田 達也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (20214554)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 実験美術史 / カラヴァッジョ絵画 / 絵画鑑賞者 / 眼球運動計測 / 脳機能イメージング |
研究成果の概要 |
カラヴァッジョ絵画鑑賞者の眼球運動と脳活動を探る目的で、美術史学生と一般学生の2グループを被験者に、カラヴァッジョ10点、カラヴァッジョ派10点およびモンドリアン10点の絵画画像を使い、眼球運動計測器を装備したMRIで実験した。 カラヴァッジョ絵画を観ているとき、人物の顔を中心に情動経験を生み出す脳領域に活動が見られた。両グループ間の比較では、第1グループで右上頭頂小葉の活動が高く、画像に設定した関心領域AOIへの注視時間も長く、第2グループがみなかったAOIも観ていた。モンドリアン絵画の鑑賞時に特徴的な脳活動は色と線を認知する初期視覚野で起こり、視線パターンは両グループに差異がなかった。
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自由記述の分野 |
美術史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって、モンドリアンの抽象絵画の鑑賞で特徴的な脳活動が第一視角野で起こると追認できた。一方、美術史学生と一般学生の間でカラヴァッジョの人物表現中心の絵画の鑑賞を視線計測および脳活動から比較した結果、共通して前帯状皮質、紡錘状回顔領域、扁桃体という情動経験を生み出す脳部位に活動が見られ、さらに美術史学生では右上頭頂小葉に高い活動があった。 これより、カラヴァッジョ絵画の特質として、最初の鑑賞時に鑑賞者一般に強い情動経験を誘発させ、鑑賞に慣れた者にはさらに深い鑑賞へといざなうことが裏づけられた。つまり、カラヴァッジョは自身の作品への鑑賞者の関与を想定し、効果的な仕掛けを施したといえる。
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