分析哲学、とくに心の哲学の概念や理論に依拠した分析を通じて、現在の精神医学にはいくつかの根本的な理論的問題があることが明らかになった。第一に、現在の精神医学には生物学的なものから社会的なものまで、さまざまなアプローチが混在するが、それらの関係は明らかではない。第二に、精神医学においては医学的問題と道徳的問題の境界がしばしば問題となるが、その線引きの基準も明らかではない。第三に、さまざまな精神疾患はどのように分類されるべきか、その分類基準はどのようなものであるべきかも明らかではない。これらいずれの問題に関しても、臨床的な有用性が最終的な基準であるのかどうかについて、さらなる検討が必要である。
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