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2019 年度 実施状況報告書

ASD(自閉症スペクトラム障害)の病理学知見を用いた哲学的構想力概念の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K21612
研究機関大阪大学

研究代表者

野尻 英一  大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (30308233)

研究分担者 三重野 清顕  東洋大学, 文学部, 准教授 (70714533)
研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワードヘーゲル / ラカン / デリダ / ドゥルーズ / 構想力 / 精神病理学 / 自閉症 / 想像界
研究実績の概要

本年度は、年度内に予定通り三回の研究会を開催した(研究会の詳細は下記)。プロジェクトの主旨である哲学分野と精神病理学分野との連携および若手研究者間の連携が進み、研究会では活発な発表と議論が行なわれている。スターティング・メンバーに加え、ゲスト・メンバーの招聘も進んでおり、特に今年度は東京精神分析サークルとの連携がかない、精神病理学(ラカン研究)の若手研究者二名も加わった。また精神科医一名も加わっている。
研究データベース構築については専用機材導入および学生アルバイト雇用による体制を整え、8月より作業を開始、年度内に書籍150冊相当の資料をデータ化することができた。
・第1回研究会(大阪大学・吹田キャンパス)2019年10月5日(土)13:00~ 野尻英一「未来の記憶――哲学の起源とヘーゲルの構想力についての断章」(2018)を土台に意見交換を行なった。報告者は三重野清顕と片倉悠輔。今後のプロジェクト予定についての討論した。研究会後、懇親会を実施。
・第2回研究会(東洋大学・白山キャンパス)2019年11月2日(土)13:00~ 小川歩人「デリダ『幾何学の起源』「序説」における「文学的対象の理念性」の在処」および「分散と組織化の界面としての身体――デリダにおけるLeiblichkeit解釈について――」を土台に意見交換を行なった。活発な議論が行なわれた。研究会後、懇親会を実施。
・第3回研究会(大阪大学・吹田キャンパス) 2020年1月11日(土)13:00~ 池松辰男『ヘーゲル「主観的精神の哲学」』(晃洋書房)の第三章と第四章、および 「市民社会における欲求と世界史における情熱――ヘーゲル「客観的精神の哲学」の動態をめぐって」を土台に意見交換を行なった。研究会後、懇親会を実施。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通り年三回の研究会を実施することができた。
スターティング・メンバーのレギュラー参加に加え、順調に人的ネットワークの形成が進み、政治学、精神病理学研究のゲスト・メンバーに加わってもらうことが出来た。特にラカン研究者二名が参加したことは大きい。ヘーゲル、デリダ、ドゥルーズにおける構想力概念とラカンにおける想像界の機能、またそれらを自閉症研究の知見から検討する議論を進めている。ヘーゲル、デリダ、ドゥルーズ、ラカンの研究者が共同することも日本国内では残念ながらあまり見られないことであり、それを実現している点は本プロジェクトの独自色である。
また研究データーベース構築作業については、機材の導入と学生アルバイト雇用による体制が首尾よく構築でき、8月からの作業開始となった。こちらも当初の予想を超え順調に進み、むしろ予算の不足により作業ペースを落とさざるをえなかったのは残念であった。年度内に書籍にして150冊相当の資料作成が出来たのは大きな成果であった。

今後の研究の推進方策

語学(英語、ドイツ語、フランス語)によって分かれてしまっている傾向がある日本の哲学・思想研究に風穴を空け、若手のつながりを作り、さらには他分野との連携にも開いていくのが本プロジェクトの主旨であるので、2020年度からも研究会の開催を継続しつつ、活発な議論と人的ネットワークの形成に努めていきたい。特に新たなゲスト・メンバーの獲得によって連携領域を広げていくことと、プロジェクトの成果を目に見えるかたちにするために書籍出版に向けて、企画内容のブレーン・ストーミングを開始する。哲学分野外との連携としては、実験心理学者を招き、記憶についての心理学研究の現状を報告してもらう企画を行なう。また別の資金による計画であるが、大阪大学人間科学研究科未来共創センターにおいて「表象文化基礎論ラボ」(仮称)の設置を計画しているが、本プロジェクト終了後の発展的接続先としての準備を進めたい。

次年度使用額が生じた理由

5,276円は人件費における学生アルバイト時給の端数を繰り上げて計算していたため生じた。次年度は人件費分として使用予定。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ヘーゲルの「良心」概念における「内面」の意味とその射程2020

    • 著者名/発表者名
      池松辰男
    • 雑誌名

      倫理学紀要

      巻: 27 ページ: 75-101

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 初期フロイトの性理論(1893-1900年)2020

    • 著者名/発表者名
      片岡一竹
    • 雑誌名

      早稲田大学大学院文学研究科紀要

      巻: 第65輯 ページ: 655-670

    • 査読あり
  • [雑誌論文] デリダ『幾何学の起源』「序説」における「文学的対象の理念性」の在処2019

    • 著者名/発表者名
      小川歩人
    • 雑誌名

      フランス哲学・思想研究

      巻: 24 ページ: 107-118

    • 査読あり
  • [学会発表] Derrida's Interpretation of Kantian "Aesthetics" in 1970's--Sublime and Narrative Voice2020

    • 著者名/発表者名
      Ayuto Ogawa
    • 学会等名
      Passages philosophieques Ⅳ Philosophie contemporaine au Japon et en France
    • 国際学会
  • [学会発表] 鏡の中の子ども――ラカンにおける鏡像段階論への前進2019

    • 著者名/発表者名
      山﨑雅広
    • 学会等名
      第8回東京精神分析サークルコロック
  • [学会発表] 意識の構造とその背後 現代実在論の課題とヘーゲル主観的精神の哲学/客観的精神の哲学の射程2019

    • 著者名/発表者名
      池松辰男
    • 学会等名
      シンポジウム「ドイツ観念論と現代実在論 理性と意識の背後をめぐって」日本ヘーゲル学会第29回研究大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 誰も女を教えてくれない――症例ドーラ再読2019

    • 著者名/発表者名
      片岡一竹
    • 学会等名
      第8回東京精神分析サークル主催コロック
  • [図書] 〈自閉症学〉のすすめ2019

    • 著者名/発表者名
      野尻 英一、高瀬 堅吉、松本 卓也
    • 総ページ数
      392
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      4623086488
  • [図書] 欲望の主体2019

    • 著者名/発表者名
      ジュディス・バトラー、大河内 泰樹、岡崎 佑香、岡崎 龍、野尻 英一
    • 総ページ数
      492
    • 出版者
      堀之内出版
    • ISBN
      4909237380
  • [備考] 大阪大学人間科学研究科比較文明学研究室ホームページ/研究プロジェクト

    • URL

      http://csc.hus.osaka-u.ac.jp/projects.html

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公開日: 2021-01-27  

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