研究課題/領域番号 |
19K21616
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
山田 良 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (00452988)
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研究分担者 |
定廣 和香子 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (60299899)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | アートインホスピタル / インスタレーション / 北欧 |
研究実績の概要 |
2021年度は、COVIDー19パンデミックの影響を受け我が国及び北欧諸国におけるアート・イン・ホスピタル活動を休止した。そのため、アート・ミーツ・ケア学会(仙台)で我が国でのアート・イン・ホスピタル活動及び派生した活動について総括し、発表した。 我が国(北海道)をフィールドとした活動は、2015年3月に開始し2020年4月に活動休止するまでの5年間であり、北海道内7病院に「風の家Breathing House」のインスタレーションを行った。また、オンライン会議システムが発達したことにより、ホスピタルアートに関わる異分野(建築学、社会学、美学)の国内外の研究者とのネットワークが広がった。定廣は徳島大学田中佳准教授(社会学)の発案による学生によるホスピタルアートの会(Hands)の発起人となり、全国で活動する教員たちとともに7月に学生たちのオンライン交流集会を運営した。また、名古屋市立大学鈴木賢一教授(建築学)主催のヘルスケアアートサミットに参加し、ヘルスケアアート宣言を実施した。 これらの活動は、アート・イン・ホスピタルに関する研究者と実践者のネットワークが徐々に形成されつつあることを示す。また、アートミーツケア学会にオンライン参加したインランドノルウェー大学の原真理子研究員(社会学:音楽療法研究)とのネットワークが構築できた。原真理子研究員の協力を得てノルウェーでの規制解除等の情報を確認し、ホスピタルアートプロジェクトの実現に向けた準備に着手した。ノルウェーでは、2022年5月現在、社会的な規制はほぼ撤廃されているが、病院内では、感染状況におうじて、制限が生じている。そのため、病院外でアートプロジェクト を実施し、そこに病院等保険医療施設の関係者を招待することにより、デリバリー型アート・イン・ホスピタルの展開に向けたネットワーク構築が可能になると想定し準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19パンデミックにより、2020年及び2021年度に予定していた北欧の病院での活動が中止となった。また、国内の病院で予定していた評価活動も休止した。国際協働プロジェクトを主目的としていたため、スケジュールも含め大幅な計画変更を余儀なくされている。 また、将来的には、ロシアとのプロジェクトも想定し、研究期間中に準備を進める予定であったが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻に伴いロシアとの国際交流を断念せざるを得ない状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していたフィンランドでの活動は、NATO加盟問題などに伴うロシアとの関係悪化などにより国内情勢が緊張している可能性が高いため、研究代表者が既に複数回アートプロジェクト を実施し、現地の建築事務所、大学等との関係が確立されているノルウェーを拠点フィールドとして空間インスタレーションを主体としたアートプロジェクトを計画する。ノルウェーの社会規制はほぼ撤廃されているが、病院内での規制については、院内の感染状況により個別に生じているのが現状である。そのため、第1段階として本年度末(2から3月を想定)までに病院外の展示フィールドを確保し、空間インスタレーション アートを実施する。また、そこに病院や施設関係者、患者や家族を招待し、デリバリー型ホスピタルアートの可能性とシステム構築に向けたヒアリングを計画している。経験上、ノルウェーのフィールド確保に時間を要する可能性も高く、年度内に現地でのプロジェクトが実現できない場合は、研究期間を延長し、2023年度の実現を目指す。2022年度6月、在ノルウェー日本大使館等を通して基礎情報を収集し、7月末には、分担者定廣が現地視察し、プロジェクト実現に向けての病院関係者からの情報収集、フィールド確保に向けた現地調査を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19パンデミックにより計画していた国際活動が延期となった。次年度再開し、現地(ノルウェーオスロ市)でのアートプロジェクト の開催準備のための現地視察、交渉、制作、現地での質問紙調査のための使用を計画している。
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