研究課題
本研究は、マイノリティとされてきた人びとの主張や活動の記録をアーカイブ化することに挑戦する芽生え段階として、これまでにも立命館大学生存学研究所で継続的にアーカイブ化してきた身体・精神・知的障害や病を持つ人びとの記録から出発して、エスニシティやジェンダーなど他のマイノリティについても展開する基盤となる人的ネットワークを構築することを目的とする。具体的な研究推進の方法としては、マイノリティ・アーカイブズについて①さがす・あつめる、②たもつ・つたえる、③つかう・いかす、の3つの視点からアプローチする計画であった。だが、計画を進めるうちに、④「かたる・つづる」と⑤「たばねる・ならべる」という観点が必要不可欠と判明した。2021年度は、継続して文書・動画でのマイノリティアーカイブズを進めるとともに、最終年度として、それを活用した研究成果をまとめて発表した。とくに重要な論点として、コロナ禍のなかで、マイノリティであるロックトイン症候群の人びとが置かれている脆弱性に関して、集中的な文献調査を行い、トリアージ問題に関して多くの論説を発表した。これらの包括的成果は、2022年5月出版の論集『尊厳と生存』(法政大学出版局)に発表される予定である。また、マイノリティとしての病者が置かれている葛藤状況に関する編著(『病と健康をめぐるせめぎあい コンテステーションの医療社会学』)を出版した。学術出版に加えて、社会に対するアウトリーチ活動としては、ウェブでのワークショップとして、分野横断的に研究者を集めて「方法としての反ワクチン 歴史で考えるワクチン政策と抵抗する人びと」(2021年9月2日)を開催し、いわゆる「反ワクチン」とラベルされるマイノリティの人びとに関して歴史的・内在的な検討を行った。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (12件) 学会発表 (7件)
佐藤純一,美馬達哉,中川輝彦,黒田浩一郎編「病と健康をめぐるせめぎあい ーコンテステーションの医療社会学」
巻: - ページ: 149-169
坪井秀人編「戦後日本の傷跡」
巻: - ページ: 348-361
保健医療社会学論集
巻: 32(2) ページ: 1-11
福音と世界
巻: 76(6) ページ: 6-11
久住一郎編「講座 精神疾患の臨床4ー身体的苦痛症群 解離症群 心身症 食行動症または摂食症群ー」
巻: 4 ページ: 75-85
小松美彦,市野川容孝,堀江宗正編「〈反延命〉主義の時代 安楽死・透析中止・トリアージ」
巻: - ページ: 137-166
神奈川大学評論
巻: 98 ページ: 125-133
巻: 32(1) ページ: 23-33
臨床精神医学
巻: 50(7) ページ: 719-724
現代思想
巻: 49(12) ページ: 146-156
生命倫理
巻: 31(1) ページ: 12-19
社会学研究
巻: 106 ページ: 12-35