研究課題/領域番号 |
19K21623
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研究機関 | 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館 |
研究代表者 |
坂口 英伸 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 研究員 (00646440)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | セメント美術 / セメント彫刻 / セメントレリーフ / 屋外彫刻 / 野外彫刻 / モニュメント / 記念碑 |
研究実績の概要 |
昨年度に戦後のセメント美術の動向を調査したことを受け、今年度は戦前のそれを調査対象とし、大正時代から昭和戦前期を研究時期の中心に据えた。彫刻家の小倉右一郎の作品を調査対象に定め、小倉が1930年代から1940年代初頭に手掛けたレリーフ作品として、富士屋ホテル(神奈川県箱根町)と旌忠公園忠霊塔(福岡県飯塚市)を選んだ。両作品に関する文献調査を収集し、現地調査を実施する予定であったが、コロナ禍で大規模な移動が制限されたことをから、現地調査の実施には至らなかった。また、文献調査に関しても、国会図書館が事前予約制になるなど、図書館や資料館などの利用が従来より大きく制限されたこともあり、参考文献の収集に苦労した。
社会環境が従前から大きく変化した今年度は、非常に厳しい研究環境だったが、具体的な研究成果として、論文(査読なし、1本)を提出することができた点は良かった。論文投稿や口頭発表など、場合によっては研究成果を発表する場も制限されることもあることから、成果を発表する機会を逃さずに積極的に成果を公表していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍を受けて調査を実施する環境は確かに厳しかったが、遠隔依頼等で入手した資料の質が良く、初見の資料が多かったため、新知見の提出の手ごたえを感じた。また、現地調査に関しても、関係者と連絡を取り合い、コロナ禍が落ち着いた段階で現地調査を実施する算段となっており、コロナ禍の状況次第では現地調査の実施も期待できることから、現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究者も昨今のコロナ禍における制限付きの調査環境に臨機応変に対応し、遠隔操作で行える資料調査を積極的に活用する、コロナ禍の状況が落ち着いた時期に集中的に一気に調査を実施するなど、研究活動の割り振りを工夫する必要があると考える。 今後はさらに時代を遡り、明治時代のセメント美術の動向を調査したいと希望している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、コロナ禍で出張を伴う調査ができなかった点や、謝金を雇用できなかった点などを挙げることができる。コロナ発生より1年以上を経て、ニューノーマルを伴う社会変化にも対応できつつあるので、その時々の実情に応じながら研究方法を工夫し、大切に研究助成金を使いたいと考えている。研究助成金の原資が税金であることに留意し、無駄遣いを省き、有効かつ不正のない使途を心がける。
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