研究課題/領域番号 |
19K21626
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
広瀬 友紀 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50322095)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 自由会話 |
研究実績の概要 |
本研究は、第二言語として日本語母語話者による英語発話の音韻現象について、従来とは異なる方法で、帰納的かつ同時に探索的な視点から再検討を行う挑戦的な試みである。日本語を母語とする英語のearly learners(幼少期習得)及びlate learners (思春期以降習得 )の自由会話録音して得られたデータから、第二言語として英語を発話産出する際の様々な 音韻現象を複数のポイントに絞って詳しく観察・分析する作業に着手した、
加えて、early learnersの中 でも英語がdominantとなった層にも着目し、第二言語の母語への影響を併せて検討するという側面も今後の展開として視野に入れる。さらに「第二言語の産出実験」と いう枠組みを超え、両言語の使用・ 切り替えが随意に行え るという極めて非制限的な環 境において、切り替え時からの距離 、切り替え前の言語、切り替え後の言語、それぞれの 言語の話者におけるdominanceとい う動的な要因を導入する。このための日英および日中バイリンガルペア数組による会話データ収集を行った。
本プロジェクトは、従来の研究よりも実際の第 二言語使用の実態により寄り添った 状況での、第二言語の音韻現象およびそのメカニズム に迫るという挑戦的研究としての意 義を持つ試みで、その知見は、実践的なコミュニケーションに重点を置く教育現場 にも有 用な貢献をもたらすと期待できる。なかでも中心的な位置づけとなるデータ収集を初年度は順調にすすめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本語を母語とする英語のearly learners(幼少期習得)については当初予定していた1名に加えさらにハワイ大学の協力を得てインフォーマントを加えることができた。定期的な録画記録とその記述を行うことができている。また、バイリンガル成人(日英、日中)の会話データについての収録も進めることができた。また、ハワイ大学および国立台湾大学との間に、データ収集の相互協力および学生交流の研究交流体制を充実させることができた。ただし、台湾国立大学での成果報告および研究打ち合わせの出張および研究補助のポスドク雇用がコロナウイルス感染拡大の影響で一部中止になってしまったため、予算の一部を来年に繰り越し、事態が収拾し次第代替機会・人員の確保に努める。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、early learners(幼少期習得)の発話データの蓄積を行い、音韻、語順、形態変化、wh要素の移動など、分析すべき現象を絞って目的に応じたタグ付けなどの詳細な記述の段階に進める。また、成人バイリンガルの会話データについては、収集済みのデータのアノテーションを進める予定である。このため、コロナウイルス感染拡大が収束するのを待って、ポスドク研究員を雇用し、またハワイ大学および国立台湾大学との共同学生ミーティングを行い、分析事項のすりあわせをすすめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大の影響で、予定されていた海外(国立台湾大学)での成果報告が中止となり、またポスドク研究員雇用予定が延期となったため。
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