研究課題/領域番号 |
19K21626
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
広瀬 友紀 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50322095)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 第二言語処理 / Child L2 acquisition |
研究実績の概要 |
本研究は、日本語母語話者による第二言語として英語発話の音韻現象について分析的的かつ同時に探索的な視点から検討を行う挑戦的 な試みである。2020年度は日本語を母語とする英語のearly learners(幼少期習得)の自由会話を録音して得られたデータから、第二言 語として英語を発話産出する際の様々な 音韻現象を複数のポイントに絞って詳しく観察・分析する計画であった。しかし2020年度は、新型コロナウイルスの蔓延により、対面での会話セッションの機会が制限され、さらに視線計測などの対面実験が予定通り行えないこととなったため、子どもの第二言語習得調査に主にインターネットを用いた遠隔セッションによる会話録画およびそのデータ編集を中心に行った。会話録画については週1回、遠隔会議システムzoomを用いたセッションをほぼ毎週続け、記録を蓄積した。同時に、前年度から収録していた動画データの二段階にわたる(テキスト、chat形式でアノテーションのついた形式)記録を進め、マニュアル整備も行った。またその間、主語whおよび目的語wh抜き出し疑問文の習得、主語関係節および目的語関係節の習得、平行して語彙サイズの変化などについて標準的な調査パッケージを整備し、今後の調査にも共通して用いるためのマニュアル作りもすすめた。 一方、成人の言語処理については、遠隔での反応時間計測実験を前年度に引き続きすすめ、その成果を国際学会にて発表することができた。これらの成果の論文化もすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により当初の計画には大きな変更を余儀なくされたが、既存のデータのアノテーションなどにリソースを振り向け、できる範囲で研究を進展させた。ただ、新規の被験者の会話セッションの計画が中止となり、翌年以降に持ち越さざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染状況が収束し次第、新規の被験者(L2英語のearly learnerとしての児童)を確保しなおし、録画データ収集を開始したい。一方、現在会話セッションを継続し、蓄積している録画データについては2020年度内でアノテーションを進めることができたため、主語whおよび目的語wh抜き出し疑問文の習得、主語関係節および目的語関係節の習得現象に焦点をあてた分析を進め、統語知識、形態統語知識、語彙知識の習得の相互の関係についても検討を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の新型コロナウイルスの拡大感染により、子どもによる第二言語習得データ収集計画の一部が中止となった。翌年度以降、新型コロナウイルスの感染状況が収束するのを待って再度被験者を確保し研究を遂行する必要が生じた。
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