研究課題/領域番号 |
19K21637
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
李 在鎬 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (20450695)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 文章の自動処理 / リーダビリティ / テスト項目の自動生成 / 自動処理 |
研究実績の概要 |
文章が持つ複雑性に関しては、これまで日本語学の分野で様々なアプローチが試みられ、文章が持つ統括力や結束力に注目した研究が行われてきた。一方、応募者は、これまで計量言語学や自然言語処理の方法論に基づいて、様々な計算モデルを用いて文章がもつ複雑性を可視化し、定量的指標(例えば、読みやすさの指標であるReadability値)を用いて一般化し、日本語教育などの応用的分野に貢献する研究を行ってきた。本研究においてもこの流れを継承し、特定の文章が持つ複雑性を言語処理のツールで解析し、言語モデル・評価モデルで最適化し、テスト問題を自動生成するシステムを開発することを目指す。 システムへの実装のための基礎調査として、人は文章のどのような特徴に注目し、問題を作成するかを調査した。具体的には、日本語教育の経験が10年以上の教師20名に対して、異なる難易度の4つのテキストを示し、問題を作成してもらった。そして、教師によって作成された問題を、52名の日本語学習者に受験してもらい、正答率、項目の識別力を計算した。その結果、初級レベルの学習者においては、助詞を含む機能表現が有効であることが確認された。中級レベルにおいては、副詞などの修飾表現が有効であることが確認できた。 この結果をもとに、空所補充問題(穴埋め問題)を自動生成する仕組みをjReadability(https://jreadability.net/sys/ja)に実装する予定である。この機能は第一には、日本語教師の試験作成を支援することを目的とするが、中上級学習者の自学自習のためにも活用できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試験問題の自動生成に関する基礎調査として、人間の視点に対する具体的な分析が完了し、システム化のための目処がたったため。
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今後の研究の推進方策 |
初級・中級レベルの問題を作成するための出題基準のリスト作成に取り掛かる。リストが完成したら、jReadabilityに実装する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査費用が想定より安く実施できたこと、コロナウィルスによる海外ワークショップがキャンセルになったことで残額が発生した。
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