本研究の目的は、もっとも複雑な言語単位である「文章」をもとに試験問題を自動生成する計算モデルの構築することと、それをウェブシステムにおいて実装することで、研究成果を広く共有することであった。研究の実績として、当初の計画とおりのウェブシステムを完成している。 本システムでは、ユーザーがhttps://jreadability.net/sys/jaに用意されているテキストボックスに特定の文章を貼り付け、「学習モード」ボタンをクリックすると、その入力文章を自動処理して出力として空所補充問題(穴埋め問題)を自動生成する。 本システムの特徴として、入力文章の読みやすさ(readability)のスケールをもとに、穴埋め問題の項目を自動生成するところにある。例えば、入力文章が初級レベルの文章であれば、初級学習者にとって重要とされる文の骨組みに関する学習項目(格助詞や係助詞など)を中心に穴埋め問題が自動生成される。中級レベルの文章であれば、文と文の関係性に関わる接続詞などをターゲット項目にした穴埋め問題が自動生成される。上級レベルの文章であれば、副詞やオノマトペなど、豊かな日本語表現に関する項目をターゲットにした穴埋め問題が自動生成される。こうすることで、読み手の日本語力(特に読解力)にマッチした項目を、システムが自動生成することができ、自律学習に活用できる。 完成したシステムは、2023年春からhttps://jreadability.net/において運用を開始している。Googleアナリティクスによるアクセス解析の結果として、週あたり600前後のユーザーが利用しており、1日あたり70~130ほどのアクセス履歴が確認できている。
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