研究課題/領域番号 |
19K21646
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
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研究分担者 |
スティアマルガ デフィン 和歌山工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (50625259)
川島 武士 国立遺伝学研究所, 情報研究系, 助教 (10378531)
藤田 敏彦 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, グループ長 (70222263)
西秋 良宏 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (70256197)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 分類学 |
研究実績の概要 |
貝殻から効率的にDNAを抽出するための実験的研究を行った。実験対象のサンプルの動物体からDNAを抽出し、COI遺伝子の配列データを取得した後、貝殻からもDNAを抽出し同一配列が得られるか検討した。貝殻からのDNA抽出については、殻層ごとに研磨した粉末状のサンプルを用意し、溶解液からDNAを抽出した。その結果、貝殻の溶解には塩酸などの酸よりもEDTAの方が適していることが明らかとなった。抽出の手順としてはまず、EDTAで貝殻を溶解し、次にProKでタンパク質を分解、そして標準的なCTAB-フェノール/クロロフォルムによる抽出という手順で良好なデータが得られた。サンプルによっては別種のDNA配列が得られたものがあったが、これは貝殻表面の付着生物等が由来のDNA配列である可能性が考えられる。従って、付着生物由来のコンタミネーションを防ぐためには外層を確実に取り除くか、外層以外の殻層を用いる方が確実性は高い。あるいは、外層を用いる場合にはブリーチ処理を行うなどの条件検討が必要であると考えられる。アサリの動物体を用いた実験では、固定後100日までを検討した結果、加熱の有無はDNA抽出に影響せず、エタノール中での保存や、-20度での保存もDNA抽出には問題無いことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年2月以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、施設・設備の利用が制限され実験が停滞している。そのため当初計画より遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の実験の方向性は2つある。 1つ目は、新鮮な標本を用いて行う実験であり、対象とする種数を増加させる。様々な貝殻微細構造を広く網羅できるよう標本を追加し、貝層ごとに準備したサンプルを用いて前年度と同様に抽出実験を進める。 2つ目は、確実にDNA抽出ができることが確認された種を対象として、博物館に収蔵されている古い標本からのDNA抽出を試みる。DNA抽出にはサンプルが生きた状態で採集されていることが重要な意味を持つため、液浸標本が利用できる場合は優先して実験を行う。乾燥標本を用いる場合は、古い死殻を除外するなど、標本の状態を精査した上で実験用のサンプルを選択する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2月・3月に予定していた実験が、新型コロナウイルス感染拡大の影響による活動制限で行うことができなかったため。
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