研究課題/領域番号 |
19K21647
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
水本 和美 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 講師 (80610295)
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研究分担者 |
一宮 八重 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 講師 (40832613)
田口 智子 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 研究員 (90755472)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 泥絵 / 渡邊紳一郎氏旧蔵コレクション / 色材 / ガラス絵 / 江戸(都市) / 自然科学分析 / 個人コレクションの保存法 / 遠近法(パースペクティブ) |
研究実績の概要 |
2021年度は(1)~(9)を行った。(1)泥絵の保存性研究では、a実資料の保存状態・方法に対して具体的な改善策を講じつつ、手法そのものを検討した。そして、ここから、b個人所有の文化財に関する研究射程へと展開した。(2)泥絵の材料研究のうち、色材調査では、a資料の観察、b自然科学分析をさらに進めた。 (3)泥絵の材料のうち、紙調査については、美術史研究者より、比較的質の良い材料である可能性を指摘され、紙の研究者に幾度か購入資料の実見してもらった。そこで、江戸泥絵と上方泥絵、あるいは江戸のなかのシリーズの差異によって紙材料に違いがあるという見通しを得た。 (4)泥絵の描画法については、視覚的な方向からの検討にも着手した。江戸時代における遠近法については文献を集めて検討したが、そこから、新たに当時の人びとの空間表現への関心という視座を得た。そしてさらに、現代社会における三次元データとの比較検討へとつながっている。 (5)泥絵のデータ化では、a資料リストの精査を終え、b紙サイズの採寸データから、サイズ分布を検討した。 (6)美術史的検討は文献調査が主となった。ただし、この間に国内研究者との知遇を得ており、美術史研究者との研究交流は発展させたい。 (7)江戸遺跡の知見を活かした地理学データについて、GISデータと紐づけを検討したが、現状、基盤となる素材地図にさらなる工夫が必要なため、今後の研究余ととらえている。(8)渡辺紳一郎氏のコレクション形成に関わり、その調査のための資料蒐集は、海外以外の特に関東圏においては想定した内容は完了した。海外(特にパリを中心としたヨーロッパ)、北海道、関西等は、今後、コロナ禍が収束した際に改めてトライしたい。(9)海外調査が計画通り進まないなか、浜松市美術館への出張で、泥絵とガラス絵の比較研究へとつながった。なお、得られた成果は論文化を進行中である。
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備考 |
https://twitter.com/hamamatsushibi/status/1504294046121881601 浜松市美術館Twitter、インスタグラム等に調査の様子を記載いただいた。
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