研究課題/領域番号 |
19K21660
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
秋山 祐樹 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 准教授 (60600054)
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研究分担者 |
小川 芳樹 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教 (70794296)
宮澤 聡 東京大学, 空間情報科学研究センター, 協力研究員 (70834274)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | ビッグデータ / モバイルデータ / ジオデモグラフィクス / 人流 / 移動体データ / ライフスタイル / 新型コロナウイルス / 経済分析 |
研究実績の概要 |
今年度は昨年度までに実現した既存のジオデモグラフィクスデータを用いること無く、独自の手法で各人に属性を与える技術が実現した。国勢調査などの既存統計が保有する居住者に関する属性を各ユーザに与えるだけでなく、家計調査や住宅・土地統計調査に基づいて各ユーザに年収や貯蓄額などの属性を与えることが実現した。また、これを実現するために町丁字や地域メッシュ単位の高精細な所得・貯蓄を推定可能なデータ整備の方法も開発することができた。さらに、各ユーザの所得に基づいて、滞留点で消費する消費金額を推定するとともに、地域メッシュ単位で各メッシュでの来訪者1人当たりの時間あたり消費額を推定し、その値に基づいてメッシュをクラスタリングすることで、来訪者の消費額に基づいた地域分類を行う技術の検討も実施した。 また、2019年~2021年の人流ビッグデータに以上の成果を応用することで、コロナ禍前後における日本全国の消費動向を小地域(3次・4次メッシュごと)ごと、また消費品目(小売業、飲食業、宿泊業等)ごとに推定し、コロナ禍による経済的影響を、地域別・品目別に把握・分析するためのデータセット開発を行った。 さらに本研究で得られたデータの応用的研究として、防災や経済分析などの分野での活用を行った。 加えて、最終年度に実施を予定している国際展開の可能性を明らかにするためのヒアリング調査を引き続きオンラインで実施した。今年度も昨年度から引き続き、韓国国土研究院 空間情報社会研究本部(大韓民国)、ハーバード大学都市デザイン学部(米国)、アジア工科大学院(タイ)の研究者を対象にヒアリングを実施するとともに、来年度以降も継続する旨を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究提案時点で今年度実施を予定した項目と、それぞれの進捗状況は以下の通りである。以下を総合すると「概ね順調に進展している」と言える。 1)独自のダイナミックジオデモグラフィクスの開発:昨年度報告書で問題となっていた「研究代表者の他大学への異動等による契約上の問題」については、データを他のデータホルダー企業から調達することが実現したため解消した。その結果、昨年度充分に進めることができなかった本項目の技術的な検討を行うことが可能となり、データの実現に至ることができた。以上より、当初目標を達成できたと言える。 2)1)の手法の汎用性の検証:これまでに開発を続けてきた手法を、外部の民間企業が保有するデータに適用することで、以下3)の目的に利用可能なデータを開発できることを確認することができた。ただし、ここで得られたデータの信頼性の検証はまだ不完全であるため、本項目はやや遅れている。 3)1)の手法を応用した新型コロナウイルスの経済的影響評価データの開発:本項目は本研究提案時点では予定されていなかったが、2)を実施する上で実施可能であることが明らかとなったため、新たに実施した。当初実施を予定していなかった内容を追加的に実施できた点では当初計画以上に進展していると言える。 4)国際展開の可能性を明らかにするためのヒアリング調査:昨年度に引き続き、コロナ禍の影響により現地での対面のミーティングや調査は実現しなかったが、昨年度と同様、オンラインミーティングにより、概ね予定していたヒアリング先への調査を実施することができた。そのため、当初目標を達成できたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度より手法の汎用性の検証の一環として「新型コロナウイルスの経済的影響評価データの開発」に新たに着手したため、来年度はこの内容を推進する予定である。ただし、本内容は技術的に高度であるため、研究期間中に十分に研究を完了することができなくなる可能性もある。そのため、来年度の進捗状況次第では研究期間の延長も検討する。また、本研究の提案時点では本研究で得られるデータの研究利用や民間利用の環境整備やその可能性についての内容を含んでいたため、来年度はデータホルダー企業とその可能性について検討を行う予定である。さらに国際展開については、今後のコロナウイルスの状況も注視しながら状況が許せば現地の研究機関やデータホルダーへの対面でのヒアリング調査等の実施を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた費目(旅費)がコロナの影響で予定通りに執行できなかったため。来年度はコロナの影響や渡航制限等を鑑みながら、可能な範囲で国内外での調査や学会発表を実施するために使用することを予定している。
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