研究課題/領域番号 |
19K21672
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
柘 浩一郎 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (90356204)
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研究分担者 |
杉田 律子 科学警察研究所, 附属鑑定所, 所長 (60356201)
吉川 ひとみ 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (20392269)
板宮 裕実 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40645488)
組坂 健人 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40801577)
宮口 一 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (10370884)
小田 凌也 広島大学, 情報科学部, 特任助教 (10853682)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 土壌有機物 / 腐植 / 異同識別 / 統計学的解析 / 次世代シーケンサ / NGS / 熱分解GC-MS |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、近隣地域から採取したいくつかの土壌を用い、土壌有機物の分離・精製法を検討した。これまでに、いわゆる「常法」とされている精製法を検討してきたが、前処理にかなりの手間を要し、フッ化水素酸等の危険度の高い試薬を用いる場合もあることから、これらの前処理の簡略化が必要と考えられた。従来の土壌有機物の分析においては、その構造を知ることを主眼として実施されてきたが、本研究では各地域の土壌の特徴(差異)が見いだせればよいことから、今後、これらの簡略化を検討する。 また、次世代シーケンサを用いた植物DNA解析については、土壌資料ではなく、モデル植物を用いた解析法を確立し、次年度以降の土壌抽出物からの分析に適用が可能になるものと考えられた。 さらに、熱分解GCまたは熱分解GC-MSを用いた化学分析を行った際の異同識別について、昨年度後半から研究分担者となった広島大学の小田特任助教とともに、統計学的な手法を用い、客観的な異同識別の指標となるデータ解析法の検討を行った。これまでに、土壌資料ではなく、有機物分析を実施したガスクロマトグラムをモデルとし、統計処理に際しては保持時間の補正、シグナル強度の正規化等の処理を行うことにより解析が可能になることが考えられた。 本年度は、新型コロナウィルス感染症の全世界的蔓延に伴い、国内外での学会や研究会への参加はごく一部を除き困難であり、関連分野の研究者からの情報取得は困難を極めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、当初、実地的な試料採取と各種分析を実施する計画であったが、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、フィールドワークや農地所有者等からの聞き取り調査が困難となり、土壌資料の採取や栽培状況の詳細な聞き取りができなかった。 感染拡大状況を見極めつつ、今後、これらの実地的な項目を着実に遂行していく計画である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は積み残しとなった、農地からの土壌試料採取および栽培状況調査を実施した上で、得られた土壌資料を用い、これまでにDNA資料の状態の良いモデル植物資料で確立したDNA解析法を適用して次世代シーケンサによる生育植物種の推定を実施する。 また、土壌有機物の分析にあたっては、前処理の煩雑性を考慮し、簡易な前処理法の導入、前処理なしでの分析を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は前述のように、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴ない、実資料の採取が困難であったり、諸外国での学会参加等が不可能であったことから、計画通りの予算執行が困難であった。 特に、多額の消耗品費が必要な次世代シークエンサを用いたDNA解析はモデル植物を用いた事前検討にとどまっており、本格的な解析が実施できていない。 次年度はこれらの解析を実施する予定である。
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