昨年度に引き続き、これまで自ら行った多くの野外調査の記録(採集記録、地図、航空写真、現場写真等)の整理を行いつつ、解析手法の開発を行なった。これまでに行ってきた、現場写真、地図に基づく土地利用などのデータに加えて、本年は、環境要因、特に気象データの組み込みを試みた。これまで気象庁等の公表データを、既知の方法で必要な解像度をもつデータに加工して用いてきた。昨年、気象データの入手先を国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が提供する「メッシュ農業気象データシステム」に切り替えた。農研機構は高解像度の1kmメッシュデータが提供されており、信頼性も高い。しかし、提供されるデータ形式は独自形式であることから、これまで開発をすすめてきたプログラムに統合できるように、インターフェースとなるプログラムの開発を進めた結果、サーバーや回線の負荷などに配慮した結果、完全自動ではないが、PostgreSQLサーバー上でデータベース化を行うプログラムを改良し、PostGISを用いてQGIS上での気温の解析を可能とした。また、現場写真と地図を総合的に判断してリスクを算出できるようにプログラムを改良を進めた。一方で、蚊の生息状況の推定に関しては、より細かい情報(植物の枝や葉、建造物などによりできる影の状態など)がひつようであり、時期によって環境整備などにより大きくかわることがある。それぞれの時期で細かい現場写真が解析に使用できることはのぞましいが、それらをより効率的に収集する方法に関しては、今後の課題である。
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