研究課題/領域番号 |
19K21690
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
安本 雅典 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (40293526)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | コア-周縁 / ネットワーク / アーキテクチャ / 技術の多様性 / 技術の統合 / 能力構築 / 標準仕様 / 標準必須特許(SEP) |
研究実績の概要 |
本課題では、令和元年度は、主に(1)技術システムの発達を検討した。まず、各種資料やインタビュー調査を参考にしつつ、分析対象となる標準技術仕様やこうした仕様に対応した特許の範囲を特定した。そのうえで、標準化機関(3GPPおよびETSI)のデータベースから対象となる標準技術仕様や標準必須特許を新たに抽出して、既存のデータベースを改訂した。このデータベースについて、標準技術仕様や標準必須特許の分類にもとづいてネットワーク分析を行うことにより、技術システムのコア‐周縁の技術群の変遷を確認しながら、技術システム全体の発達を明らかにすることを試みた。そのうえで、コア‐周縁の技術群を担う企業の保有する技術や企業間の関係を確認した。 その結果、技術の世代毎に、いくつかの相互の結びつきが強いコアとなる標準仕様の技術が明確に存在し、それらは他の周縁的な技術間を結びつける媒介的な技術であることが分かった(例えば通信の無線やサービスに関わる技術)。また、これに対応して、それらの技術間にわたって標準必須特許が申請されていることも明らかになった。以上の結果は、コア技術を中心に多様な技術が結びつき、すなわちシステムのアーキテクチャが構成されていることを示唆している。 一方、これらの技術をどのような企業が担っているのかについて分析することで、企業間の関係をネットワークとして試行的に検討した。その結果、コア技術を数多く担っている企業は相互に結びつきが強く、ネットワークの中心になっていることや、コア技術の変遷とともに中心となる企業が変化していることも明らかとなってきた。また、中心となる企業はコア技術だけでなく、周縁的な技術も数多く手がけていることも示唆された。 以上の成果について、国内外の学会、企業関係者との会合において成果発表を行い、その妥当性を一定程度確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査、データの収集・蓄積(データベース構築含む)、国内外での学会発表や実務家との意見交換を進めることにより、調査・分析課題の検討、試行的なデータ分析、途中成果の執筆・報告を行うことはできた。一方、海外ジャーナル向けの原稿執筆や学内・学会業務、社会活動等に時間を要したことから、研究の枠組の構築、データの処理・整理、文献レビューに遅れが生じている。これらの点から、(3)とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、先行研究やデータの整理、調査によるデータの確認・追加収集、およびコア‐周縁の技術の企業内外にわたる引用のデータを含めたデータベースの分析をさらに進め、それらの成果にもとづき、コア-周縁技術の効果的なマネジメントについて検討することを試みる。 より具体的には、データ分析を試行しながら、より的を絞った文献レビューを行い、コア-周縁技術の面から、企業の能力構築についての理論的な枠組みを構築する。こうした枠組みにもとづき、コア-周縁技術についての企業内外にわたる技術的な結びつきや引用関係を分析することで、企業の能力の構築についての検討を進め、コア-周縁技術の探索や活用が、いかに企業の能力構築に結びついているのかを解明することを試みる。 成果については、学会・研究会やワーキングペーパーによる発表を進めるとともに、書籍出版や国内外の論文への投稿をより積極的に行っていく。同時に、国内外で投稿中の関連論文が複数存在するため、これらの刊行を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 予定していたデータ分析(物品費や人件費・謝金)ならびに調査・学会発表出張(旅費)のうち、他の研究の作業や公務との関連で、今年度実施できないものがあったため。 (使用計画) 次年度以降に、予定していたデータ分析(主に人件費・謝金)ならびに調査・学会発表出張(旅費)を、順次進めて使用していく計画である。
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備考 |
次年度に、関連webページを更新して、公開する予定である。
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