研究課題/領域番号 |
19K21690
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
安本 雅典 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (40293526)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | コア‐周縁技術 / 知識 / オープンな技術プラットフォーム / アーキテクチャ / 技術の統合 / 特許の引用 / 標準必須特許(SEP) / 技術仕様 |
研究実績の概要 |
本課題では、令和三年度は、これまでの(1)技術システムの発達についての検討で明らかとなったコア‐周縁の技術群を担う企業の相違やポジションをふまえ、(2)特許引用にもとづく企業内外の技術のネットワークの変遷についてのデータの検討をさらに進めた。さらに、令和三年度には、これまでの成果をふまえ、(3)企業による能力構築についての検討を開始した。まず、これまでの成果にもとづき、対象となる主要20企業のうちとくに技術システムの発達に関わってきた10社程度の企業によるコア‐周縁の技術群の引用に注目して、各企業における知識のネットワークとその変遷について確認した。 具体的には、標準必須特許を引用する独自特許のデータベースを用いて、こうした独自特許による自他社のコア‐周縁の技術の標準必須特許の引用を時系列的に検討し、主要20社の技術の獲得や強化の傾向を明らかにした。その結果、広い技術にわたる高密度の知識を構築してきた既存の有力企業や有力通信IC企業は自社内外のコア‐周縁の技術を幅広く活用してきたのに対し、そうではない新興有力企業はもっぱらコア技術に集中して技術を獲得し自社内で強化してきたことがわかった。 この点について、さらに、企業のポジションを示す他社からの標準必須特許の被引用数を従属変数、自他社のコア‐周縁の技術の引用を説明変数として重回帰分析を試行的に行ったところ、自他社両方のコア‐周縁の両方の技術を活用して知識を構築、強化しているいるほど、他社からの被引用数が増加する傾向にあることが明らかとなった。これは、オープン化された技術については、企業間で分散しているコア‐周縁の技術を適切に活用することが、効果的な知識の構築や強化に結び付くことを示唆している。令和三年度は、以上の作業を通じて、企業内外にわたるコア‐周縁技術の特許引用の変遷から、企業における能力の形成・蓄積の理解を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
文献やデータの収集・整理等(データベース構築やその分析含む)、コロナの感染状況とはあまり関係なく進められる作業については、遅延はあるものの、ある程度は予定通りに進んでいる。一方、国内外のコロナの感染状況により、調査、打ち合わせ、学会、コンファレンス等を通じた検討が困難になっている。こうした状況のため、調査や打ち合わせによる作業内容や途中成果の確認、成果の発表、それらによる内容の修正や改善が予定通りには進んでおらず、遅延が生じている。これにともない、研究の課題や枠組のより詳細な検討、および海外ジャーナル向けの原稿執筆については遅れが生じている。これらの点から、(4)とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、先行研究やデータの整理、調査によるデータの確認・追加収集を進めるとともに、昨年度までに構築したコア‐周縁の技術の企業内外にわたる引用のデータベースの分析を進め、協調的な標準化によりオープン化されたコア-周縁技術の利活用を通じて、いかに企業の能力構築がなされるのかを検討する。 より具体的には、(1)より的を絞った文献レビューを行い、コア-周縁技術の企業間の移転や企業内での蓄積の面から、協調的な標準化によりオープン化された技術についての企業の能力構築について理解するための理論的な枠組みをさらに検討し整理する。並行して、(2)こうした枠組みにもとづき、コア-周縁技術についての企業内外にわたる技術的な結びつきや、コア-周縁技術の引用関係を時系列的に明らかにする。そのうえで、(3)こうしたコア-周縁技術の引用の変遷についての分析結果と合わせて、これまでに検討した各企業の知識の多様性や密度が企業の能力の構築にどのように関係しているのかについて、統計的な分析を含め検討する。これらの成果をもとに、標準化によりオープン化された技術のコア-周縁技術の探索や活用が、いかに企業の能力構築に結びついているのかを解明することを試みる。 成果については、学会・研究会やワーキングペーパーによる発表を進めるとともに、国内外の論文への投稿をより積極的に行う。国内外で投稿中の関連論文が複数存在するため、これらの刊行も目指す。また、これらをまとめたものを学術書として刊行することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 予定していた調査・学会発表出張(旅費)については、コロナの感染状況により、今年度全く実施できず、途中成果についての意見聴取や情報収集を行うことが困難であったため。 (使用計画) 次年度以降に、オンラインでの調査や発表を実施していくとともに、予定していた調査・学会発表出張(旅費)を順次可能な範囲で進めて使用していく計画である。次年度においても状況が改善しない場合には、期間の延長も検討する。
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備考 |
研究室WEBサイトの内容については更新中になります。
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