研究課題
本研究の最終年度であった令和4年度では、アジア型マネジメントの検討については、日本を含む東アジアの企業における組織原理の根底にある共通原理としての儒教的倫理観に着目し、そこから生じる先輩後輩同期関係が組織における人間行動に及ぼす影響を検証する調査を実施し、エージェントベースモデルを活用する将来研究につながる複数の発見を得た。また、アジアにおける経営の負の側面でもある男性優位の職場環境、とりわけ女性リーダーが直面する問題について、エージェントベースモデルを活用する今後の研究につながるような文献整理を行った。エージェントベースモデルについては、同モデルをリーダーシップに応用した鳥の群型リーダーシップの特徴を分析し、アジアに特有の全体性を重視した組織マネジメントのあり方との関連性を検討した。さらに、最終年度でもあったため、これまで行ってきた研究成果を論文掲載につなげる活動に注力した。その結果、エージェントベースモデリングを用いてアジア企業と欧州企業の経営環境変化に対するレジリエンスの特徴を比較した研究成果が、経営学分野におけるトップジャーナルの1つであるAcademy of Management Learning and Educationに掲載された。また、エージェントベースモデルを用いて日本的な特徴である「おもてなし」に伴う接客場面での従業員と顧客との共同価値創造について分析をした論文が、Frontiers in Psychologyに掲載された。さらに、エージェントベースモデルが組織マネジメント分野にどのように適用されてきたのかの経緯、適用分野、今後の研究の方向性を整理した展望論文が、コンピュータや数理モデルを中心に扱う経営学ジャーナルであるComputational and Mathematical Organization Theoryに掲載された。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件)
Computational and Mathematical Organization Theory
巻: Conditional Acceptance ページ: Forthcoming
Academy of Management Learning & Education
巻: In Press ページ: In Press
10.5465/amle.2021.0150
Frontiers in Psychology
巻: 13 ページ: 1-9
10.3389/fpsyg.2022.868803