研究課題/領域番号 |
19K21693
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神事 直人 京都大学, 経済学研究科, 教授 (60345452)
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研究分担者 |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
蓬田 守弘 上智大学, 経済学部, 教授 (30286611)
鶴見 哲也 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (50589364)
阪本 浩章 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (80758996)
川瀬 剛志 上智大学, 法学部, 教授 (60275302)
石川 知子 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (20632392)
新宅 公志 広島修道大学, 経済科学部, 助教 (30785697)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 環境政策 / 国際貿易・投資 / 情報通信技術 / 国際協定 |
研究実績の概要 |
・情報通信技術の高度化によって生じる環境政策の規制・執行能力の変化について、具体的な事例や先行研究に関する情報収集を行った。 ・生産から汚染が発生し、輸出と直接投資の2つの外国市場への参入経路がある状況を想定し、自由参入のときの貿易国の政府の生産課税(排出税)の水準について理論分析を行い、DPにまとめた。また、国際課税制度と環境問題の関連を明らかにするために、法人税のケースに応用して同様の分析を行った。さらに、企業の生産拠点選択を考慮した国境炭素調整措置に関して理論分析を行った。 ・気候変動に関する南北モデルの論文を公刊し、動学ゲームを用いた国際環境協定の理論研究等について学会報告を行った。また、温室効果ガス排出枠の国際取引が貿易構造や温室効果ガス排出量に及ぼす影響を理論的に分析し、成果をまとめた。さらに、再生可能エネルギー供給に資する環境財に対して、現行のWTO補助金協定を適用することが、経済学的に正当化されうるかを理論的に分析し、成果をDPとして公開した。 ・発展途上国における主観的幸福度と消費の関係性について、普段入手している情報の違いによって異なる可能性を検証することを目的として、2020年2月末にベトナム農村部で調査を行った。現地の二つの村役場の協力のもと、合計5000サンプルの回答を得た。 ・企業に異質性がある貿易において、国際間の非対称性はどのように理論的に特徴付けられるかを、一般的なモデルを用いて大局的な観点から解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度中はおおむね計画通りに研究が進展した。しかし、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大による様々な活動制限により、2020年度は研究の遂行に遅れが出ることが懸念される。特に、経済実験や海外の現地調査などは実施できない可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
・初年度に得られた研究成果をさらに発展させ、成果を研究会や学会等で報告するとともに、ディスカッション・ペーパーとしてまとめて公表する。また、初年度にディスカッション・ペーパーとして公表した論文については、査読付国際学術誌へ投稿し、採択されることを目指す。さらに、初年度に実施したアンケート調査から得られたデータについて、普段入手している情報の違いによって主観的幸福度と消費の関係性が異なるのかどうかを分析していく。 ・排出に関して企業と政府の間に情報の非対称性がある場合において、望ましい環境規制と罰則の水準、政策実施コスト負担のあり方を求める。理論分析によって企業と政府の均衡における戦略を明らかにし、経済実験によって補完する。 ・初年度から取り組んでいる国際協定形成の理論研究を進め、微分ゲームにおけるフォーク定理に関する研究に取り組み,国際的な環境政策への応用を検討する。 ・新たな情報通信技術と環境・人権問題のモニタリングの関係につき、OECDや世界銀行、IMF等国際機関及びGrobal Reporting Initiative等民間の実務の検証を中心に分析する。 ・昨今の新型コロナウィルスのパンデミックと通商政策の関係に焦点を移して、引き続き環境・衛生とWTO規律の関係について考察する。 ・上記以外の研究として、(1) 輸出と直接投資がある状況において政府に選択される法人税の水準の分析、(2) 企業の生産拠点選択を考慮した国境炭素調整措置の理論的分析、(3) 温室効果ガス排出枠の国際取引が貿易構造や温室効果ガス排出量に及ぼす影響に関する研究、(4) 再生可能エネルギー供給に資する環境財と国際貿易ルールについての研究、(5) 国際間の非対称性の理論的な特徴付けを基礎とした、片方向的・非協調的な貿易自由化政策と外国直接投資政策の効果に関する理論的分析、等にも取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画よりも効率的に研究を遂行することができたこと、および当該年度内に実施予定だった計画の一部を次年度に実施することに変更した結果、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求する助成金と合わせて、次年度実施に変更した研究内容および追加的な研究に対して使用する計画である。
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