最近、Times Higher Education (THE)やQS World University Rankings (QS)などの大学の国際ランキングが関心を集め、マスコミでもよく取り上げられている。また、経済学の分野では、Tilburg University Top 100 of Economics Schools (Tilburg)も、注目されている。THEは、研究だけではなく、教育、資金力、国際性なども含めたランキングである。また、研究に絞っても、ランキングのための各大学のポイント計算を公表していない。QS分野別ランキングは、H-index Citations、公刊論文1本当たりの被引用数、雇用者からの評判(Employer reputation)、研究者間の評判 (Academic reputation)をウェイトづけしてランキングしている。Tilburgは、独自に選んだ経済誌数十誌と関連分野数誌への論文公刊数に基づいてランキングしている。これらのランキングは、研究機関に所属する研究者数を考慮していない。 そこで、本研究では、数年前から日本の主要国立大学の経済・社会科学系の附置研究所とシンガポール国立大学経済学部および香港大学経営経済学部の研究生産性を国際的 学術誌への論文掲載数と引用数という明確な指標にもとづいて計測・比較している。今年度も、このような調査を継続した。具体的には、Article Influence Scoreをもとに作成した経済学重要学術誌リスト(TOP20、TOP50、TOP100、TO200)と、経済学との隣接分野(経営学、社会 学、法学、歴史学、地域研究、統計学など)の学術誌を膨大に含む「拡張リスト」を使い、研究生産性(論文数の総数だけではなく、部局平均や中位値)を計測した。さらに、被引用数についても、同様に調査を実施した。
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