研究実績の概要 |
本研究計画は、市町村レべルの水資源・ごみ処理場の共同体における費用分担問題を研究することである。研究を始めて、市町村レべルだけでなく、国単位、そして世界レべルでの国家間の運営の問題を考えざるを得なくなり、2020年度はその問題を集中的に研究した。それを (1)Mamoru Kaneko, "Exploring new socioeconomic thoughts for a small and narrow world: unity and decentralization", to appear in New Horizons in Education and Social Studies, Book Publisher International, London. にまとめた。代表者は「世界政府論」を考えてきた。また、限定的理性(限定合理性)を研究してきた。期待効用理論の枠組みの中で、それを進展させたのが、 (2)Mamoru Kaneko, "Expected utility theory with probability grids and preference formation", Economic Theory 70, Issue 3, 723-764, 2020. (単著)(査読有) である。この立場からは、「世界政府論」が世界運営からの乖離が大きすぎることが分かる。そのため、「世界政府論」を「世界連邦政府論」に変更した。世界連邦政府は国家主権を超越し、各国家の問題に介入する権利を持つが、日常的な社会・経済運営に関しては、国家主権を認める。少数派の保護などは世界連邦政府が各国家の実質的運営の制約として課するのである。2020年はより広範な問題意識を明確化する作業を行った。
|