研究課題
本研究計画は、公共領域での少数派の保護のための制度の研究が主目的である。2023年度は国内の自治体の共同運営での多数決ルールにおける少数派保護の問題だけでなく、世界レベルでの弱小国家の保護の制度を考察の対象にした。特に、ロシアのウクライナ侵略に関して考察し、一つの論文をまとめた。それをAdvances in Applied Sociology誌に発表した。研究代表者は、地球規模の世界運営の為に「世界政府論」を考えてきた。しかし、「世界政府論」による世界の運営は、小国家の権利・独立性を無視することに繋がる。そのため、「世界政府論」を「世界連邦政府論」に変更することにより、「世界政府論」に小国家を無視することが防げ、そして各国々の独立性を保護する。これは大国の小国への侵略を許さない。この立場から、上記論文はウクライナの独立を理論的に支持する。日常的な社会・経済運営に関しては、国家主権を認めるが、国内での少数派の保護は世界連邦政府が各国家の実質的運営の制約として課するのである。2023年度はこのような制約を広範な立場から、複数自治体からなる共同体における費用分担の意思決定ルールに、少数派保護のためにどのような制約が考えられるのかを考察した。その計算機実験を行うために、そのための理論とモンテカルロ法に基づいたシミュレーションの研究を行った。この具体的な研究から、世界政府論でどのように小国を保護するかを考え、定量的研究に結びつけることが可能になる。結果として、より広範な問題(少数派保護制約のついた多数決決定など)のシミュレーションプログラムを使った研究が可能になった。
受賞:ワルシャワ経済大学(Warsaw, Poland)、名誉博士号受賞 2023年4月3日受賞講演:"Nash Social Welfare, Logic, and Inductive Game Theory: An Application on the Russian Invasion of Ukraine"
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Advances in Applied Sociology
巻: 13 ページ: 869~876
10.4236/aasoci.2023.1312050