研究課題/領域番号 |
19K21705
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
薄井 彰 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (90193870)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 会計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、監査人や産業組織が会計不正を防止するための知識をどのように集積し、それらの知識を市場全体にスピルオーバーするかを解明し、ディスクロージャーの質や信頼性を担保することによって、最適なモニタリングメカニズムを資本市場に構築する政策要件を明らかにすることである。監査人の交代は、監査人の独立性を高め、モニタリングの強化となる一方で、クライアントに関する業務情報が長期的に蓄積されないので監査技術が低下する可能性もある。本年度では、監査人の交代に関する基礎文献を収集するともに、日本の監査人の交代に関する研究データベースの構築、日本の会計不正に関するケース分析、および会計不正のプロセスの検証を行った。さらに、2000年代初頭以降、International Financial Reporting Standards (IFRS) が日本の会計制度に強い影響を及ぼしていることを鑑み、歴史的な観点から、IFRS が日本の会計制度と企業行動に及ぼした影響を検証した。制度的には、日本の「一般に認められた会計原則」(Japanese Generally Accepted Accounting Principles: J GAAP)とIFRSの同等性は保証されている。日本企業がJ GAPPからIFRSに会計基準を変更することがディスクロージャーの質や信頼性の向上に寄与するかは、実証的に確認すべき課題である。経営者がIFRSを選択する目的、例えば国内外の投資家間のコンフリクト解消、報酬契約、コーポレートガバナンスの強化、およびレピュテーションなどの目的を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた文献調査、会計不正に関するケース収集、および研究データベースの構築が順調に進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
監査人や産業組織が会計不正を防止するための知識を集積し、それらを市場全体にスピルオーバーする効果を実証分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、学会出張および調査等出張ができなくなったこと、ならびにデータベース構築の人員の確保が十分にできなかったため、旅費および人件費の支出が減少したことによる。次年度においては、感染状況に応じて研究出張を行うとともに、オンラインを利用した研究データベース構築を行う。
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