研究課題/領域番号 |
19K21717
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
井上 征矢 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (80389717)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 聴覚障害 / コミュニケーション支援 |
研究実績の概要 |
2019~2020年度に聴覚障害者を対象に行った、画面の指さしで応答するコミュニケーション支援ツールのニーズに関する調査結果を参考に、コミュニケーション支援ツールの応答場面や応答内容の追加やUIデザインの改良等を行った。ピクトグラムは種類によって色分けしていたが、色覚の多様性への対応として、色覚シミュレーションツールを使用して、P型色覚、D型色覚の人から見分けにくいと考えられる色分けを同一画面に使用しないように色の再考を行った。過去の研究でJIS等に定められた現在のピクトグラムは聴覚障害者にとって必ずしも分かりやすいとはいえないものもある、という結果が得られており、本ツールは聴覚障害者の立場からみて分かりやすいようにアレンジできる、というコンセプトでもあるため、研究代表者が制作したツールを基本構造として、デザインを専門とする聴覚障害学生が当事者としてデザインしたピクトグラムを使用したバージョンも制作した。 また、これまでに制作した応答場面は、大きく分けて「自宅訪問者との応答」、「外出先での応答(店舗等)」、「緊急時の応答」であったが、「緊急時の応答」として、これまでに制作した救急、事故、火災、事件等に加えて、大規模な災害発生時における応答場面の制作も行った。応答場面は、災害発生時・直後における避難や被害状況等の情報を確認、収集する応答と、災害発生後の自宅周辺や避難所生活等における応答に区別し、これまでに、聴覚障害があることで支援を要請する画面に始まり、災害発生時・直後における、事態(大火災、土石流、洪水、津波、河川の増水、他)の確認や伝達と、避難の必要性や方法、猶予時間等の確認、各種避難場所の確認、などに用いることを想定した応答画面を制作した。 今後は、災害発生後における自宅周辺や避難所生活等において必要と考えられる応答画面の制作を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
聴覚障害者を対象に行ったコミュニケーション支援ツールが有効と考えられる応答場面の調査結果を参考に、コミュニケーション支援ツールの基本バージョンの制作を終えたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、当事者が実際に街に出るなどして、その試作品のユーザビリティ等を評価する調査ができなかった。そのため、緊急時の応答として、大規模災害時における応答画面の追加制作を行った。
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今後の研究の推進方策 |
大規模な災害発生時における応答のうち、災害に関する情報収集のための応答画面をより充実させ、さらに自宅周辺や避難所生活等において必要な応答画面を制作し、完成とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、当事者が実際に街に出て、ツールの試作品のユーザビリティ等を評価する調査等ができなかったため、そのために計画していた複数のタブレット端末の準備に関わる経費や、調査協力者への謝金等を使用しなかった。 残額は今年度、災害時において必要な応答場面に関する資料の収集費や、災害時の応答画面を制作する際に使用するデザイン系ソフトの継続使用料、制作補助等の学生短期雇用費等に使用する。
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