研究課題/領域番号 |
19K21726
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
安田 恵 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助手 (60814548)
|
研究分担者 |
色摩 弥生 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40291562)
大谷 晃司 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50285029)
坂本 信雄 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80448638)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
キーワード | 地域体験実習 / プロフェッショナリズム / ロールモデル |
研究実績の概要 |
【背景】プロフェッショナリズムの醸成を目的として、医学部3年生が2泊3日で地域に赴き住民や医療職・行政担当者と交流する「地域実習」を、今年度はCovid-19の影響によりオンラインで実施した。オンライン実習が学生のプロフェッショナリズムに対する考えにどのような影響を与えたのか、前年度との比較を交えて報告する。 【方法】今年度は、地域を支える医療・介護職の「仕事とやりがい」についての講話、「医学部卒業までに備えるべき能力」についてのグループディスカッションとレポート作成、「地域医療における医師のプロフェッショナリズム」についてのプレゼンテーション用スライド作成を2日で行なった。従来の実習は病院・施設見学、住民との交流、医療者の講話や地域医療に関する討論会、上記と同様のスライド作成から構成されていた。参加学生(前年度133人、今年度125人)に対し、(1)「新ミレニアムにおける医のプロフェッショナリズム;医師憲章」の項目を簡略化した14項目の中から最も重要と考える3項目を選ぶアンケートを実施し、実習前後の変化を分析した。(2)上記のスライド内容のテキストマイニング分析を行った。 【結果】(1)実習前には、両年度とも、約8割の学生が「医学的知識」を重要項目に挙げた。実習を経て重要と考える学生が有意に増加した項目は、前年度は「医学的知識」「利他主義」「社会正義」だったのに対し、今年度は「人間性」であった。(p<0.05)(2)頻出語の共起ネットワークから抽出されたカテゴリーのうち、両年度とも「患者中心の視点」の項目に関連する語句の出現回数が最も多かった。 【考察】オンライン実習においても学生は、ロールモデルの話を基に考える作業を通して、現地で実習した場合と同様に「患者中心の視点」の重要性を認識した。一方、医師のプロフェッショナリズムの認識への影響には、現地実習とは質的な違いが認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は新型コロナ感染拡大防止のためオンラインで実習を行ったが、実習による意識の変容は認められている。 現地での実習とオンライン実習での比較に関しては長期的に経過を見る必要もあると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインで実習を行った。2021年度は現時点では現地での実習を予定しているが、今後の感染状況によっては今年度もオンライン実習の可能性がある。アンケートやテキストマイニングの結果が実習による影響か、それともその学年特有の結果であるかの判断は慎重にすべきであると考える。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインで実習を実施したことによりアンケート集計もオンラインで一部施行したため集計費などが想定した金額より安価であった。また、参加予定だった学会も全てオンライン開催となったため、学会参加費などが生じなかった。 今年度もオンラインで実習を行う場合は、現地の様子を録画して映像を供覧することも予定しているため撮影費として使用したいと計画している。
|