研究課題/領域番号 |
19K21733
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研究機関 | 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所 |
研究代表者 |
三田 勝己 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害システム研究部, 特別共同研究者 (40100169)
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研究分担者 |
赤滝 久美 大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 教授 (30280811)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 重症心身障害 / 医療的ケア / 地域福祉資源 / ICT |
研究実績の概要 |
重症心身障害児者(以下,重症児者と略す)は,生来の重度重複障害に加え,呼吸器疾患を始め全身諸器官にわたる重篤な合併症を有する。そのため,生活介護のみならず,日常的に「医療的ケア」が必要である。全国の重症児者は約39,000名と推計され,約2倍の26,000名が在宅重症児者である。居宅での介護は重症児施設との格差が大きく,支援の充実が喫緊の課題となっている。その方策の一つとして,高齢者や障害児者(重症児者を除く)のデイサービス,ショートステイなど,地域に多数ある福祉資源(福祉施設・事業所)を有効活用することが考えられる。しかし,地域福祉資源は生活介護が主たる業務であり,医療的ケアが必要であることは大きな障壁となる。 本研究は,ICTを利用して,重症児施設から地域福祉資源の医療的ケアを支援する情報化システム『ICT医療的ケア支援』を構築し,遠隔医療相談やオンライン診療などの実証研究を行う。そして,ICT医療的ケア支援の有用性と課題を明確にし,地域福祉資源の利用対象を重症児者にまで拡大できる医療福祉環境の実現に資することを目的とする。 本年度(研究初年度)は,地理・社会環境の異なる複数の地域福祉資源(福祉施設・事業所)を対象として,在宅重症児者の医療的ケアと生活介護の必要性,及び,地域福祉資源の医療ケアの実施可能性について実態調査を行い,実証運用の計画を作成した。また,ICT医療的ケア支援ではインターネットを使ったWeb電話機能が中心となる。支援提供側の重症児施設は高性能ノート型パソコンを,地域福祉資源では携帯性を重視してタブレット型パソコンを使用した。このICT機器システムは実証研究フィールドで予備運用を行い,技術面および操作面の課題を解決し実証運用に備えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,その目的を達成するために4つの個別課題を設定して研究を遂行している。すなわち,課題1:在宅重症児者と地域福祉資源の実態調査を行う,課題2:ICT機器システムの設置と予備運用を実施する,課題3:実証運用を行って評価データを蓄積する,課題4:実証運用の評価と実用化への提言を行う。本年度は,当初の研究工程に沿って課題1と課題2を達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
課題3:ICT医療的ケア支援の実証運用と評価データの蓄積は本研究の中核をなすものであり,課題1で策定した計画に沿って,約1年半をかけ,4~5箇所の地域福祉資源で実証研究を行う。しかし,COVID-19の影響で,地域福祉資源を直接訪問して,検証を行うことが困難な場合が想定され,研究遂行の遅延が危惧される。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述したように,次年度実施予定の課題3は本研究の中核をなすので,予め研究費を準備しておく必要がある。令和2年度の交付予定額が3年間で最も少なく,令和元年度(初年度)の約半額である。そのため,初年度の研究費を保留し,次年度使用へ充当することとしたい。
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