研究課題/領域番号 |
19K21738
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
河野 銀子 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (10282196)
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研究分担者 |
高橋 裕子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (70226900)
米澤 彰純 東北大学, 国際戦略室, 教授 (70251428)
佐々木 啓子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (70406346)
黄 梅英 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (30458228)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 女性学長 / 大学管理職 / リーダーシップ / ジェンダー / 高等教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、大学の女性学長・リーダーを生み出す要因を探り、日本の特質を踏まえた将来展望を見出すことを目的としている。日本の大学の女性学長は増えてきたが(1998年:37名(6.2%)→2018年:85名(11.3%))、3割程度である欧米と比べると少ない。このような現状に問題意識をもち、日本の大学におけるダイバーシティと、それを支えるリーダーシップ、マネジメントがいかにあるべきかという普遍性のある課題に挑戦するため、文献調査や半構造化インタビュー調査によって女性学長・リーダーの実態を明らかにする。 具体的には、(1)現状分析、(2)政策分析、(3)歴史分析、(4)国際比較を進めるが、初年度である2019年度は、とくに(2)政策動向を踏まえながら、(1)現状分析に重点的に取組んだ。以下に詳細を示す。 (1) 現状分析では、女性学長が誕生する社会や大学の特徴を探るため、「どのようなプロセスを経て学長になったのか」を重視している。そのため、(a)男女学長のデータベースを作成した。その一つは、男女学長・副学長の量的変化であり、もう一つは、全国の国公私立大学の学長の経歴一覧である。これらをもとに、とくに女性学長のキャリアパスの特徴分析に着手した。また、(b)インタビュー調査を実施した。まず、先行調査・研究等を参考にしながら質問項目を検討してインタビューガイドを作成した。その後、倫理審査を経て実際に現職学長5名へのインタビュー調査を行い、音声を起こした原稿を作成した。 (2) 政策分析としては、近年の大学政策の変化の中で、学長の位置づけ(選出方法など)がどのように変化してきたかを共有するとともに、学長研究の第一人者を研究会に招き、レクチャー、及び本研究への助言を得た。(3) 歴史分析や(4) 国際比較は個々に取り組んでおり、今後、(1)(2)の分析と合わせ総合的に分析していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は女性学長が誕生する社会や大学には何らかの共通する特徴があるのか(ないのか)を探ろうとしているが、それに必要な基本的な情報(全国国公私立男女学長データベース)を収集し、分析に着手することができ、また、実際に5名の学長に対するインタビュー調査を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、「どのようなプロセスを経て学長になったのか」を重視して、女性学長が誕生する社会や大学の特徴を探るため、今後も、定期的な研究会を開催しながら、(1) 現状分析、(2) 政策分析、(3) 歴史分析、(4) 国際比較の4つの分析を行っていく。
今後は、初年度に引き続いて、(1) 現状分析として、女性学長・副学長の量的変化、及び学長の仕事と女性学長の実態把握(現職学長へのインタビュー)を行い、女性学長が誕生する大学の諸特徴の類型化をめざす。また、(2) 政策分析としては、全般的な大学政策に加え個別大学の施策分析、及び男女共同参画政策や科学技術・学術政策における位置づけ分析を進める。さらに、(3) 歴史分析として、文献調査、及び女性学長経験者10名程度へのインタビューに取り掛かり、(4) 国際比較として、先進事例として想定される国々の調査を含む高等教育と女性学長・リーダーに関する国際動向・取組みの分析を進める。
以上の分析にあたり、諸外国の先進事例における女性学長輩出のプロセスや組織社会学、高等教育研究の視点(選抜モデル、サバイバルモデル、育成モデル、革新期待モデル、大学イメージモデル等)を参照していく。今年度、来年度は、本テーマに関連する諸学会(教育社会学会、ジェンダー史学会、高等教育学会、国際ジェンダー学会等)や国際会議で発表するとともに、学会誌等への投稿や、社会還元としての出版などの準備も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集と分析作業が年度をまたぐことになったため、人件費や物品費に余剰が出たが、この分は次年度の同作業に充てる。
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