研究課題/領域番号 |
19K21741
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
平 明子 筑波大学, 人間系, 准教授 (60835651)
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研究分担者 |
花井 渉 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教 (60783107)
江里口 歡人 玉川大学, 教育学部, 教授 (90266255)
川口 純 筑波大学, 人間系, 助教 (90733329)
Inugai Carol 筑波大学, 教育推進部, 客員教授 (90817032)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | IBコンピテンシー / 高大接続 / 教員評価 |
研究実績の概要 |
本研究は、国際バカロレア(International Baccalaureate: IB)の教育効果を実証的に析出することにより、「IBコンピテンシー」の明確化に寄与することを目的とした。特に、非認知能力が如何に育成され得るかを、IBコースと普通コースの生徒を対象として比較・検証してきた。本年度は、これまでに国内外において実施されたIB教育の効果に関する研究のレビューを行い、そのレビューの成果を踏まえつつ、本研究と同様の問題関心のもとに実施された先行研究として、山本ベバリーアン氏(大阪大学人間科学研究科)を研究代表者として実施されたIBによる委託研究(Yamamoto et al. 2016)が参考になると考え、山本氏の質問紙調査を基に新たな質問紙調査を作成、配布した。質問紙調査策定のために、数度の研究会、打ち合わせを実施した。 日本では、2013年以降、IBの普及・拡大が図られているが、その背景には、IBが従来の「学力」試験では測り切れない能力育成を志向した教育プログラムであり、IBを活用して、日本の教育政策に対する示唆を得るという目的が存在した。しかしながら、日本ではIB校が徐々に増加しているものの、IB教育の効果を実証的に問う研究や、なぜIB教育の効果がもたらされるかを明らかにした研究は、存在していない。そこで、本研究では「エビデンスに基づく政策」が求められていることを踏まえて、①IB教育の効果を「学力」ではなく、非認知能力に焦点を当てて実証的に検証すること、②その効果がもたらされる全体構造を明らかにすること、以上2点の研究課題を設定した。そして、本2点の研究課題の解決を通じて、学術的、実践的にIBコンピテンシー(IB教育を通じて実際に習得されるコンピテンシー)を確立、明示することに寄与した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナの影響で、学校調査等が出来ず、進捗がかなり遅れている
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今後の研究の推進方策 |
今後はコロナの状況をみながら、学校調査を無理のない範囲で実施する計画である。また文科省のコンソーシアム事業を本学で受託したが、そちらの事業とも相乗効果をもたすことが出来るように研究計画を関係者と協議の上、練り直していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で学校での現地調査に大幅な遅れが生じた。次年度以降は非認知能力に着目し、「実際にIB教育を通じて、どのような能力が育まれる/育まれないのか」を明らかにしつつ、IBコンピテンシーを確立することを試みる。IBは「国際的なスタンダード」として、世界的に高い評価を得ているものの、「実際にどのような教育効果をもたらすか」という点に関しては、不透明な現状にある。そこで、本研究がIBコンピテンシーの確立を試みることは、国際的貢献の観点からも、非常に価値がある。さらに、次年度は、IB校のなかのIBコースに所属する生徒(IB生)とそうでないコースに所属する生徒(非IB生)とを、追跡的に比較する計画である。すなわち、IB教育を合わせ鏡として、学習指導要領に基づく「日本の教育」を相対化することを試みる。この作業により、IB教育の強み、弱みはもちろんのこと、既存の日本の教育の強み、弱みを明らかにする計画である。
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