研究課題/領域番号 |
19K21745
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
鈴木 拓弥 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (10553935)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 聴覚障害 / 音声認識 / 字幕 / UI / 学習支援 / 教示支援 / 情報保障 / 複数話者 |
研究実績の概要 |
2020年度は本研究の二年目として,以下の事項に取り組んだ。 (1)初年度開発した「同時多発音声の字幕提示システム(音声認識を中心とした同時多発音声の字幕提示UI)」の改修:昨年度実施した障害当事者に対する評価を元に,UIの改修及び機能の改修を行った.具体的にはデザインの不適格性(誤操作を招く表現)や初期設定項目の追加,エンターで入力確定とするなどの操作性の向上,音声認識時の処理待ちを強制終了する機能,Twitterによるソーシャルログイン機能,短縮コード及びQRコードによる招待機能,入力中のテキストのリアルタイム共有機能等の改修,機能強化を行った.また,開発したシステムを正式なサービスとしてリリースした.開発したシステムは,Universal(普遍),Union(結び)と,Talker(話者)を結合し,UniTalkerと命名した. (2)同時多発音声の字幕提示システムの検証:正式リリース後,アプリケーションの有効性の評価を行った.評価は与えられた条件に従って聴者と聴覚障害者とで会話する対人コミュニケーション実験(健聴者と聴覚障害者が混じり会話する場面を模擬した実験,実験参加聴覚障害者4名,健聴者12名)と,実験後の質問紙,ヒアリング調査によって行った. (3)今年度実績の成果発表・公表状況:システムのリリース,HCIInternational2020及び情報処理学会アクセシビリティ研究会第14回研究会における発表,みんなの学会における講演. (4)次年度予定:(2)において示したの結果を取りまとめ,研究論文として投稿予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請時の予定では,2020年度の予定を「2019年度の成果を受けたシステム改良,実験,口頭発表」と予定しており,全て予定通り実施した.実験は聴覚障害者(筑波技術大学生),健聴者(静岡大学生)の協力のもとで実施し,試作した複数話者の音声同時字幕提示システムを用い,指定した課題設定に従って実験対象者同士で会話してもらう会話実験とした.会話にはZoom等の遠隔会議システムを用い,画面及び音声を共有した.既に実験結果の集計,分析を終えており,最終年度の予定である論文執筆に既に着手済である.当初の計画以上に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下の予定で推進する. 2021年度:2020年度の成果を受けたシステムの改良及び,成果のまとめと論文執筆
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次年度使用額が生じた理由 |
国際的な学会に研究論文が採択され,発表を予定していたが,新型コロナウイルス感染症に伴うオンライン開催となった影響により,海外出張が取りやめとなったこと.また,今後のシステム改修及び開発したシステムの永続的な活用に備え,2020年度に実施したシステム改修に必要な外注費を他の研究費から充当し,計画的に当研究費を抑えたことが理由である. 次年度使用額はシステムの改良に関わる外注費や運用費,また,海外出張が可能となった場合には当該旅費に充当予定である.なお,研究は順調に推移しているものの予定していた海外発表について現時点では見通しが不明瞭であるため,必要に応じて研究期間を延長する.
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