研究課題/領域番号 |
19K21745
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
鈴木 拓弥 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (10553935)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 聴覚障害 / 音声認識 / 字幕 / UI / 学習支援 / 教示支援 / 多人数 |
研究実績の概要 |
2021年度は本研究の三年目として、以下の事項に取り組んだ。 (1)「同時多発音声の字幕提示システム(音声認識を中心とした同時多発音声の字幕提示UI)UniTalker」の改修:2019年度にプロトタイプを開発し、2020年度に正式に運用を開始した同時多発音声の字幕提示システムUniTalkerについて、Webアプリケーションの運用を継続した。運用の過程において、幾つかのUIの改修及び機能強化を実施した。機能強化として、海外ユーザー向け英語UIの設置及び機械翻訳による多言語化がある。具体的には、ブラウザの言語設定に応じてUIを日本語から自動的に英語に切り換えて表示する機能、及びUniTalkerの設定画面において任意の言語を選択することで、選択した対象の言語に機械翻訳される機能を追加した。UI表示対象とした言語は、日本語以外に英語のみとした。機械翻訳対象とした言語は、日本語以外に、英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語とした。 (2)UniTalkerの継続運用と課題の発見:(1)の機能強化を実施し、運用を続け、利用実績は順調に増加している。一方で、これまでの機能強化と運用の過程において、幾つかの問題点が明らかになった。具体的には、登録ユーザーが可能な投稿再編集時のインライン編集を可能とする機能の仕様上の問題点や、UIの不具合などである。これらの問題点は2022年度に修正予定である。 (3)現時点までの成果発表:昨年度は成果をまとめ、国内において原著論文として投稿した。複数回修正を実施したものの、現時点で採録まで至ることができていない。一方、内容修正の上、査読付Proceedings(国際学会)に投稿し、採録が決定している。 (4)次年度予定:(2)において示した問題点の修正と機能拡張。及び(3)おいて示した国内査読付き原著論文の再投稿。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の予定では、2021年度の予定を論文投稿と位置付けており、予定通り実施した。2020年度、聴覚障害者(筑波技術大学生),健聴者(静岡大学生)の協力のもとで実施した実験と口頭発表を元に、成果を取りまとめ、国内の査読付き論文に投稿した。主に定量的評価について問題点の指摘があり、現時点では採録に至れていない。一方で、同論文について、定性的評価に限定して結果を評価し直し、査読付Proceedings(国際学会)に投稿し、採録が決定している(発表・掲載2022年7月)。 また、WebアプリケーションUniTalkerは概要で述べた機能拡張実施後、これまでと同様に停止等が発生することなく順調に運用を続けている。継続運用を続ける過程において、利用者は順調に推移しており、昨年末時点で利用実績が900件を超えた。また、複数のSNSで紹介されるなど、認知も進んでいる。以上より、「おおむね順調に進展している」と判断した。引き続き次年度、論文について内容修正の上、国内の査読付き論文に再投稿の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度:2021年度、システムの運用を続ける中で明らかとなったUniTalkerの問題点の改良と継続運用、及び論文の修正と国内査読付き論文への再投稿。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた国際会議について新型コロナウイルス感染症に伴うオンライン開催となった影響により、予定していた海外出張が取りやめとなったこと。また、運用を続ける中で明らかとなった問題点の修正に備え、システム改修のための予算を残したこと等が理由である。システム改修については、2022年度5月現在、既に検討を進めており。年度半ばに改修を終える計画であり、使用計画は問題ない。また、修正再投稿を予定している論文について、定量的評価に関する問題点を指摘されていることから、改めて実験をやり直す可能性がある。もし実験をやり直す場合には、実験協力者謝金や実験に使用する機器の更新等に使用する計画である。
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