日本では特に、2016年以降の教育機会確保法の施行から、適応指導教室、不登校特例校および夜間中学校、そしてフリースクールなどが不登校や学校に不適応がある生徒の受入れ先を確保してきた。2022年度はこれらの施設を訪問調査してきた。この訪問調査を通じて、日本における不登校、中途退学のリスク要因そして、介入や補償教育のあり方について意見交換をすることができた。この知見を、ヨーロッパに広げて、イギリス、ドイツやフランスにおける状況を調査した。コロナの影響を受けつつも、日本より早くアフターコロナ社会に戻りつつあるため、コロナ以前の早期離学状況から改善が両国ではみられている。フランスにおいては、この3年間で2%以上の数値上の改善もみられ、概ね、早期離学状況は改善され、政策の効果があると考えられる。 他方で、ドイツのような早期分岐型教育制度においても隠れた不登校、欠席児童生徒の問題や、不本意な進路選択の事実が聞かれ、数値には見えない隠れた課題として早期離学問題に対する政策関心あるいは現場の教員の関心があることが聞かされた。またコロナの影響をうけ、早期離学率は上昇傾向にある。イギリスは、EU離脱後、NEETに対する取組が行われていて、学齢後の若者支援に重点が置かれている。 特に近年の教師の社会的地位の低下や働き方に関して、実態を明らかにすることで、管理職、教師が生徒を取り巻く学校の環境が悪化している状況について多くの課題を3か国共通に抱えていることが明らかとなった。 以上を踏まえた早期離学の日欧における共通課題を見出すことが可能と判断できた。今後はより現場における課題を訪問調査から析出し、国際比較の観点から公教育の課題と若者の進路選択の課題に迫りたい。
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