研究課題/領域番号 |
19K21766
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
澤村 信英 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (30294599)
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研究分担者 |
白川 千尋 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60319994)
杉田 映理 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (20511322)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | マダガスカル / アフリカ / 中等教育 / 初等教育 / 仕事 / 学校 / 国際開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アフリカ地域における最貧国の一つであるマダガスカルを事例として、就学から就業への移行(トランジション)について、家庭状況、家族構成、ジェンダー、地域特性等を個別に照合しながら、国際的な潮流となっている中等教育拡大の妥当性を再検討することである。しかしながら、フィールドデータの収集は、2021年度においても引き続き海外渡航が制限され困難であった。 このような状況ではあったが、必要に応じてオンラインによる調査も行い、またこの1~2年でのさらなる文献レビューおよびデータ分析により、少なくない研究成果を公表することができた。具体的には、学会誌等(「国際開発研究」「アフリカ教育研究」「共生学ジャーナル」)に3編の論文が掲載され、学会発表は6件(うち2件は、国際学会)に及ぶ。 これらにおいて明らかにできたことは、次のような諸点である。学校と家族は一定程度、子どもの「学校から仕事への移行(SWT)」に影響を与えているが、学校のそれは認知的な能力の向上では必ずしもない。高い教育を受けたとしても、それによるSWTへの影響はさほど大きくない。SWTにおいて学校教育の役割は相対的に小さく、親の影響が大きいことは、家族農業の中で必要なスキルの修得が行われることを想定している。 従来の研究がSWTに対する教育システムの効率性が議論の中心であるのに対して、若者の職業に対する考え方を検討し、彼らが仕事への移行において、身近な環境である学校や家庭をどのように活用あるいはそこから影響を受けているか、当事者の視点から理解しようとする点が本研究の独創性である。このような結論は、従来のSWT研究の分析を個人から家族単位で行う重要性を示唆するものでもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度から2021年度の2年間は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、海外渡航が制限され、新しいフィールドデータが得られなかった。その点においては、やや遅れているという認識ではあるが、日本国内での分析作業、オンラインによる補足データなどの収集により、かなりリカバーできたとも考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度への繰越予算を使用し、マダガスカルでの事例をアフリカ地域内で相対化させるため、2022年6月にケニアでの調査を行う。さらに、2022年8~9月にマダガスカルで最終調査を行い、本研究の総括をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大により、海外渡航が一切できなかったことが最大の理由である。今年度は、特任研究員の人件費、海外旅費(現地調査)、国内旅費(学会発表)に使用する計画である。
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