研究課題/領域番号 |
19K21769
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
川上 尚恵 神戸大学, 国際教育総合センター, 講師 (60507713)
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研究分担者 |
朴 秀娟 神戸大学, 国際教育総合センター, 講師 (10724982)
齊藤 美穂 神戸大学, 国際教育総合センター, 准教授 (20580658)
高梨 信乃 関西大学, 外国語学部, 教授 (80263185)
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研究期間 (年度) |
2020-02-01 – 2023-03-31
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キーワード | 非母語話者日本語教師 / 日本語教師養成 / 大学 / 教え方 / インタビュー |
研究実績の概要 |
本研究課題の初年度として、まず交付申請書に挙げた課題1に対応する調査1(非母語話者教師がどのような日本語学習・教育観を持っているか、また教育現場で求められる日本語能力とはどのようなものか)を一部実施した。計画では、ビリーフ調査及び授業観察を実施する予定であったが、コロナ禍における実施の困難もあり、本年度はインタビューにより3名の非母語話者教師の日本語学習・教育観について調査を行った。 その結果、以下のことがわかった。非母語話者の利点として、学習者としての経験と学習者の理解を確認・促進するための母語の使用があり、困難点として、類義語や言葉の運用の説明、聴解・会話の授業や最新情報の入手及び日本語能力の維持が挙がった。利点についてはこれまでの先行研究と同様の結果となったが、困難点としては具体的な状況や特定の科目について不安や困難を感じていることがわかった。また、利点として挙げられた学習者としての経験の内、学習者として経験した教え方を全員が初めて行った日本語の授業で取り入れていたが、その理由はそれ以外の教え方がわからなかったということであり、教え方がわからないことは、初めての授業での不安と緊張に繋がっていた。 教え方について学ぶことは母語話者・非母語話者の双方にとって重要ではあるが、非母語話者教師養成として特に重要となるのは、不安や不足点を感じている科目や内容別の教え方への対応だと考える。非母語話者教師自身の利点・困難点については先行研究と重なるところもあったが、それを教師養成の観点から考察したことで具体的な課題が明らかとなり、非母語話者教師養成のあり方への具体的な示唆となった。 なお、以上の調査結果については、論文にまとめ、2020年度中に公開されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度における調査計画の内、コロナ禍での影響もあり、実地調査(授業観察含む)は実施できなかったが、遠隔でのインタビューによるパイロット調査を実施し、研究実績の報告の通りに一定の成果が得られた。特に、その結果を論文として公表できたのは、計画以上の進捗状況であるが、一部調査が実施できなかったため、(2)おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書に記載した計画に沿って進めていく。実地調査の中で特に海外での実地調査については、今年度も実施ができない可能性があるが、代替方法についても検討し、研究課題を進めていく予定である。 2021年度は、まず、調査1を次のように進める。昨年度のパイロット調査で明らかになった点を整理する。そして、本研究課題実施者が関わる日本語教師養成プログラム修了生にプログラム修了後の追跡調査を実施し、養成プログラム履修者の状況を具体的に把握する。その結果を受けて、調査対象者を適切に選定し、本調査を実施しつつ、可能であれば授業観察を行う。 また、調査2として、教師養成プログラムにおける教師志望者の不安軽減と言語能力向上に関する先行研究を検討し、理論的枠組みの検討を行う。 以上のような調査1・2の結果から、非母語話者教師養成プログラムに必要な要素を具体的に検討し、教師養成プログラムにおける試行に向けた検討を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施する予定であった国内調査及び海外の学会等への参加ができなかったため、次年度使用額が生じている。新型コロナウイルス感染症に対する日本及び海外の状況次第ではあるが、国内調査と海外の学会等参加の用途において、2021年度に使用する予定で計画をしている。
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