最終年度である本年度は,以下の農業技術について,それらの確立者である農家と共同しながら学校での実践を可能とするための検証を行った。 【研究1.『有機農法菌ちゃん元気野菜づくり』】 有機農業者吉田俊道氏を研究協力者として,学校での実施を想定とした「プランター栽培」における,雑草投入法および給食の野菜残渣による土作りと野菜栽培の可能性について検討した。雑草の投入では,発生する微生物を糸状菌優先にすることで菌体と作物の根の連絡が生じ,野菜の生育が長期にわたって良好となる現象が確認された。一方,給食残渣を塩漬けにして使用する方法では,乳酸発酵による土づくりによって短期間に効率よくプランターでの土づくりが可能となることが明らかになった。これらのことを応用することで,先駆的な有機栽培技術を学校で児童・生徒が体験することができると判断された。 【研究2. 『除草機「ホウキング」』】 有機農業者古野隆雄氏を研究協力者として,本除草機の除草メカニズムとして,生育のごく初期に雑草に跳ね上げる土に埋没させ,光合成を阻害し枯死に至らせる現象が生じており,それは除草効果全体の約4割程度を占めていることが明らかとなった。さらに,ホウキングによって土壌中のECに変化が生じていることも確認され,物理性の向上によって,土壌の化学的環境にも好影響が及ぼされていることも示唆された。ホウキングを児童生徒が使いやすいものに改良することで十分に学校現場で活用できると判断された。 以上,各農家の農法の科学的検証を進めた結果,科学的な根拠を元に学校現場に導入できる基盤を構築することができた。
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