研究課題/領域番号 |
19K21780
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研究機関 | 長野県立大学 |
研究代表者 |
前田 泰弘 長野県立大学, 健康発達学部, 教授 (10337206)
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研究分担者 |
立元 真 宮崎大学, 大学院教育学研究科, 教授 (50279965)
小笠原 明子 長野県立大学, 健康発達学部, 講師 (50734117)
加藤 孝士 長野県立大学, 健康発達学部, 准教授 (10631723)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 野外保育 / 姿勢や動き / 発達が気になる幼児 / 歩行分析 / 発達支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、野外保育が幼児の移動運動や姿勢制御の発達に与える効果を、客観的な指標を基に評価できるようにすることを大きな目的としている。申請者の所属機関がある長野県では、県内の保育・幼児教育の場で野外保育の推進を図るため、信州型自然保育認証制度を策定しその普及を進めている。このような自治体による野外保育の推進例は広島県や鳥取県などにもあり、全国的に増加の傾向にある。このように野外保育への関心が高まる中で、それが子どもの育ちに与える効果について客観的検証を期待されている現状がある。 そこで、今年度の研究では、まず、野外保育と子どもの育ちに関する客観的検証の研究動向を調べ、今後の研究の資料を得ることとした。その結果、自然や野外での活動は、子どもの身体感覚を高め、大脳機能、特に前頭前野によってつかさどられる実行機能や抑制機能の向上に寄与する可能性があることが分かった。また、野外保育と幼児の運動能力の関連性について検討した研究では、野外保育が運動能力の向上に与える明確な有効性は示されなかったが、分析の対象や手法を工夫することでその効果を検証できる可能性が示唆された。その手法のひとつとして身体工学的な観点からの歩行分析の有効性が考えられた。特に幼児への適用においては、歩行運動や姿勢制御の安定性の観点から評価することの有用性が示唆された。このことから、今後、野外保育の効果検証のためには、多くの幼児の歩行動作を客観的かつより簡便、効率的に計測できる方法の適用が望まれ、今後の課題となるところであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、上記研究実績の概要に示した研究成果に基づき、従来成人に使用されている歩行計測機器の幼児への適用の実験を行う予定であった。しかしながら、社会情勢(新型コロナウィルスの影響)により、幼児を対象とした実験を延期せざる得なくなったこと、また、比較対象として計画していた自然保育を行う海外の幼児への調査も延期となったことから、当初予定していた幼児の歩行運動の評価ができなかった。このことから、本研究の進捗状況を「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として、幼児を対象とした実験が可能となった際に、すぐに再開できるよう準備を整えていく。また、これと並行して、理論的背景のさらなる拡充や、成人を対象とした実験の可能性についても、検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
【現在までの進捗状況】で記載の通り、社会情勢(新型コロナウィルスの影響)により、実験と調査のための出張が中止された。今年度予算には、特にこの実験のための機器レンタル代と操作技師の人件費を多く計上していたため、次年度使用額が大きく生じる結果となった。今後、実験と調査が可能になり次第、これらを使用する予定である。
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