研究課題/領域番号 |
19K21780
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研究機関 | 長野県立大学 |
研究代表者 |
前田 泰弘 長野県立大学, 健康発達学部, 教授 (10337206)
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研究分担者 |
立元 真 宮崎大学, 大学院教育学研究科, 教授 (50279965)
小笠原 明子 長野県立大学, 健康発達学部, 准教授 (50734117)
加藤 孝士 長野県立大学, 健康発達学部, 准教授 (10631723)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | 野外保育 / 姿勢や動き / 発達が気になる幼児 / 歩行分析 / 発達支援 |
研究実績の概要 |
本研究では、野外保育が幼児の移動運動や姿勢制御の発達に与える効果を、客観的な指標を基に評価できるようにすることを大きな目的としている。当初に行った研究では、幼児の移動運動と姿勢制御を客観的に計測する方法として、身体工学的な観点からの歩行分析、そして計測パラメータとして歩容や歩行の安定性を計測することの有効性が示唆された。これをもとに、一昨年度は歩行の計測と分析方法に関する文献研究を中心に行った。本研究は子どもを対象とするため、計測の手続き(特に機器の装着や計測)に簡便さが求められる。また、本研究で行う歩行計測は、保育の場かつ屋外でのより日常的な場面を想定している。そのため、従来用いられてきた実験室内での計測手法(たとえば身体にマーカーをつけて歩行させ、その軌跡をカメラで追うなど)は不適であると考えられた。検討の結果、被験者である子どもに加速度計を内蔵したベストを着てもらい、歩行時の加速度データを無線で受信することによって歩容(特に歩行のバランス)を分析・算出する「体幹二点歩行動揺計」を用いることとした。一方、この動揺計を用いた手法はこれまで介護予防(転倒防止)を目的とした事業で、成人を対象に使用されているが、子どもに応用した研究はこれまでのところない。したがって、研究を進める上において、たとえば被験児への教示の内容・方法や計測環境が歩行に与える影響など、基礎的なプロトコルについても合わせて検討することが必要であると考えられた。このことから、本年度は実験室内で成人等を対象とした予備的実験を進めることを計画していたが、昨今の社会情勢(新型コロナウイルスの影響)により研究協力者との接触が難しかった。そのため、文献研究やより簡便に着脱できる子ども用の装具(ベスト)の開発等を中心に実験の準備を進める結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度はこれまで延期となっていた実験(成人を対象とした歩行計測)を行い、(1)標準データおよび(2)歩行に対する上肢運動の影響や(3)固視点の有無による影響に関するデータ等を収集する予定であった。しかし、新型コロナ禍が収束しないことから、研究協力者に直接機器を装着する本実験は引き続き実施が難しかった。そこで、身体運動を含む保育所での幼児の発達の諸相をテキストマイニングの手法を用いて分析するなど、直接の身体接触を伴わない研究を行った。しかし、本来の研究計画で予定した研究については実施状況が芳しくないため、本研究の進捗状況を「遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ禍の状況改善が見えることから、成人対象の実験から実施していく。また、状況に応じて子どもを対象とした実験を実施することも見据え、準備を進める。なお、当初予定では分担研究者と共に、地域間の比較研究を行う等も計画していたが、研究期間に制約があることから、優先度をつけて可能な限り進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、機器を人に装着して計測する実験を国内外の数か所で行う予定であった。しかし、新型コロナウイルスの影響により、それらの実験が実施できなかったことから、実験にかかる物品費および旅費に次年度使用額が生じることとなった。また、研究のための情報収集や成果発表のための学会参加等も多くがオンライン形式となったため、旅費に次年度使用額が生じることとなった。今後は感染状況の改善により、徐々に実験実施の可能性が見込まれることから、次年度使用額はそこで使用する計画である。
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