研究課題/領域番号 |
19K21786
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
寺崎 里水 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (70432028)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
キーワード | キャリア教育 / 高校進路指導 / 地域間格差 / まち・ひと・しごと創生総合戦略 |
研究実績の概要 |
現行教材やプログラムについて、高校における聞き取り調査と資料収集を行い、活用のされ方、実践にあたっての問題点の整理を行う予定にしていた。しかし、実際の聞き取り調査は、新型コロナウィルスの感染防止の対応が進むなかで調査の中止を余儀なくされ、予定していた2地域のうちの1地域でしか行えなかった。そこで、当初の予定では2年目に行うはずだった先行研究の理論的検討を先取りする形で進めた。 日本は長い間、大都市を先頭にして地方がそれを後追いする形で成長と拡大を続けてきた。その過程で教育/就職機会の地域間格差を前提として、地域移動を織り込んだキャリアのあり方がつくられていったのである。“後進地域”に立地する高校がスプリングボードとなって地方都市から若年者を都市に輩出してしまう構造は、結果としての地方都市の衰退と地域の労働市場における人材の枯渇を招いた。このような都市と地方の関係に対する学校の役割の見直しが、近年、迫られている。それは学校や教師が抱いてきた「よいキャリア」を考え直すことであるのと同時に、若者はどうやって地域に主体的に参加できるか、そのために学校教育はなにができるかという新たな問いでもある。 こういった動きを勢いづけるのが地方創生時代の学校教育に対する期待の高まりである。「まち・ひと・しごと創生法」が制定され、学校を核とした地域づくりが全国的に進行し、小学校、中学校、高校の各学校段階で、生まれ育った地域でのキャリア形成を考えさせる教育が行われ始めた。しかし、その実践が妥当なものであるかどうかの検討は、十分に行われていない。若者の自由な職業選択や地域移動を妨げることなく、地域に貢献する人材を育成するキャリア教育のあり方について議論が必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目は現行教材やプログラムについて、高校における聞き取り調査と資料収集を行い、活用のされ方、実践にあたっての問題点の整理を行う予定にしていた。 しかし、実際の聞き取り調査は、新型コロナウィルスの感染防止の対応が進むなかで調査の中止を余儀なくされ、予定していた2地域のうちの1地域でしか行えなかった。 文献資料や書籍については順調に収集が進み、問題点の整理に着手したところである。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目は、a.データの収集とb.先行研究の理論的検討を行う。 a.データの収集については、地域ごとの暮らしやすさを基底する労働市場や子育て助成などの条件の公開データを収集する。また、これをゲーム的な要素のなかにいかにして取り込めるかという点で、システムプログラマーやファイナンシャルプランナーなどの専門家の意見を得て検討を進める。 b.先行研究の理論的検討については、引き続き、文献および資料の収集を続け、今日のメリトクラシーのあり方に関する理論的検討や、学歴エリートだけではない多様なキャリアのあり方を視野にいれたキャリアモデルの検討を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの感染拡大による出張自粛および調査延期、打ち合わせの中止により、旅費や人件費(データ整理)が未使用となった。 次年度、先行研究の理論的検討について、当初計画よりも手厚く行うためにキャリアプランニングおよび地域政策関連の図書費として支出する。また、データ整理作業人件費、専門的知識の提供に対する謝金についても、当初計画に加えて支出する。
|