研究課題/領域番号 |
19K21789
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
根ケ山 光一 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00112003)
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研究分担者 |
外山 紀子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80328038)
石島 このみ 白梅学園大学, 子ども学部, 講師(移行) (70735117)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 保育園入園 / 離島 / 都市部 / 自由遊び / 身体接触 |
研究実績の概要 |
根ケ山は入園場面の事例を離島で3例,都市部で5例録画し,簡単な分析を行いつつある。観察は入園時点初日から4日間は連日,その後は週2から回で1か月まで,さらにその後は2週に1回で最大限5か月まで,毎回30分行った。あわせて,保育士に依頼して日誌による分離時の行動の追跡記録を行った。分析は泣きの頻度,玩具の接触頻度と行動パターン,保育士との接触頻度と行動パターンについて行った。その結果,入園後約1か月以内に子どもの行動が激変することがわかり,保育士だけでなくモノの存在が大きな意味を持つことが推察された。 外山は東京の保育所に入園したばかりのゼロ歳児について,1週間に約1度,午前中の自由遊び場面を2019年4月から2020年2月まで,縦断的に観察した(2020年3月については,新型肺炎感染防止のため観察が実施できなかった)。アロマザーである保育者とそのアロマザーに共同養育される仲間との相互交渉場面を,相互交渉の相手・開始者・内容・役割分担について時期による変化の分析を行った。 石島は東京の保育所に入園したばかりの0歳児クラスにおいて,乳児―保育士間,乳児―乳児間の身体接触の量および身体接触のタイプが1年間でいかに変化したかについて,過去に収集した観察データを用いて事例的に分析した。その結果,0歳児クラスの乳児における身体接触を介した関わりは,1年の間で量的・質的に変化していた。事例数を増やしてさらなる検討を行うことで,身体性を基盤とした乳児の他者との関係性発達の萌芽プロセスについて検討できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響で,離島と都市部ともに,2020年度の入園場面の観察がまったく行えなかったため。ただしそれまでの行動観察データや質問紙データは収集できており,徐々に分析されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
再年度に離島と都市部の入園事例を集中して集め,分析することになる。とくに2020年度の入園事例の観察は新型コロナウイルスにともなう規制でまったくできなかったため,データ収集が丸1年後傾せざるを得ない(根ケ山)。 2020年度は4月当初から夏休み前まで,保育園ゼロ歳児クラスに入園したばかりの乳児を対象として,朝の登園場面の観察を行う計画をたてていた。保護者と保育者との間でどのようなやりとりがかわされているか,また保護者と離れる際にゼロ歳児がどのような行動をとるかについて分析予定であったが,新型肺炎の影響により観察調査が実施できなくなったため,2019年度に実施した観察データについて分析を進める予定としている(外山)。 0歳児クラスにおける乳児―保育士間,乳児―乳児間の身体接触の量およびタイプの1年間の縦断的な変化について,今後は事例数を増やしてさらなる分析を行っていく。特に,乳児から自発的な身体接触的かかわりが見られた際に,具体的にいかなるかかわりがなされ,それがどのような機能を持つのか, いかに乳児―保育士間および乳児―乳児間の関係性が変化していくのかについて検討する(石島)。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの関係もあって研究が多少とどこった。今後は残りの期間で取り戻すつもりではあるものの,事態の推移が予断を許さないため,状況に応じて判断する。
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