研究課題/領域番号 |
19K21791
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
山内 豊 創価大学, 教育学部, 教授 (30306245)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 小学生 / 英語 / シャドーイング / 評価 |
研究実績の概要 |
シャドーイングは、目標言語である英語のリスニング力、発音やリズム・イントネーションなどの韻律面を含むスピーキング能力を向上させるだけでなく、音声言語処理を高速化させて総合的な英語力を伸長できると期待できる学習法である。本研究では、小学生がシャドーイングを楽しく練習し、シャドーイングのパフォーマンスを自動評価して学習意欲と学習継続性を高められるシステムを開発する。ただし、2020年度は新型コロナ・ウイルスの感染拡大により、小学校の授業が大幅に制限された。特に、英語は日本語よりも破裂音をはじめ、飛沫が飛びやすい言語である。さらに、コンピュータに正確に学習者の音声を認識させるためには、マスクなしで録音することが不可欠である。これらの点で、小学生のシャドーイングを研究対象とする本研究は大幅な制限を受けることになった。対面がむずかしいコロナ禍で、小学生に単調な英語のリピーティングのみのドリル的な練習を課しても飽きてしまい、学習効果が上がらないことが予想される。そこで、海外の学校と日本の学校がオンライン上でビデオレターを作成して交流するプロジェクトを企画し、その中で英語を積極的に使う機会を与える方法を考案した。日本の学校では目標言語である英語を使ってビデオレターを作成する。一方、米国の学校では、日本語を外国語として学ぶ学習者が日本語でビデオレターを作成する。これらのビデオレターをオンライン上で交換し、視聴し合うことで、お互いの目標言語のリスニング技能やスピーキング技能を高め、異文化理解も深めていくプロジェクトである。その中でシャドーイングとその自動評価を組み入れることによって、どのように学習意欲を高め、学習を継続させられるかについてのモデルを考案し、国際会議で提起した。今後、このモデルを小学生にも適合できるように進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大により、緊急事態宣言が発令された。このため、小学校の授業が休みになったり、授業での活動が制限されることになった。コロナウイルスの感染防止のため、マスクをしたり、ソーシャル・ディスタンスを取ることが必要になったため、対面で英語でやり取りする音声コミュニケーションを多く含む英語授業の実施が難しくなった。英語のモデル音声を聞きながら口頭再生するシャドーイングでは、ヘッドホンやマイクロフォンを使用するが、これらも感染防止のために、学習者が交代するごとにアルコール消毒する必要が出てきた。このため、2020年度に予定していたシャドーイングの教室内での実施が極めて困難な状況になった。2021年度は新型ウイルスの感染状況を確認しながら、感染りクスを抑えながらシャドーイング研究を進めていけるように調整している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は新型ウイルスの感染状況を確認しながら、感染りクスを抑えながらシャドーイング研究を無理なく進めていけるように計画している。特に、文部科学省のGIGAスクール構想によって、一人の学習者に一つの学習端末が与えられる状況になった。今回の研究対象の小学校では、全児童が各々1台のChromebookを使って学習できる環境になった。このため、Chromebookを最大限に活用しての音声コミュニケーションを重視した英語学習、および、シャドーイング練習と評価ができるようなシステムを構築し、研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大により緊急事態宣言が発令され、小学校授業の活動が制限され、小学校の音声コミュニケーション活動を対象とした本研究を円滑に進めることができなかったため、該当助成金が生じた。翌年度以降は、新型ウイルスの感染状況を確認しながら、感染りクスを抑えつつ、各学習者が1台のChromebookを使って学習できる環境を活用しながら、小学生対象のシャドーイング研究を進めていく予定である。具体的には、小学生向けのシャドーイング教材をネイティブ・スピーカーの協力を得て作成する(謝金使用)。そのシャドーイング教材を小学生が1人に1台のChromebookで練習できるように、教材をChromebookへ組み込めるような教材用サーバを理工系の大学院生の協力を得て構築する(物品、謝金使用)。さらに、小学生のシャドーイングのパフォーマンスを自動評価できるような評価用サーバを購入し、理工系大学院生の協力のとも評価用プログラムを開発して組み込む(物品、謝金使用)。このようなシステムで得られたデータを分析するために統計分析ソフトを購入して使用し、小学生の英語力の伸びとの関係を統計的に解析する(物品、謝金使用)。分析結果や得られた知見を国内外の学会や機関誌で発表していく予定である(旅費、その他)。
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