研究課題/領域番号 |
19K21793
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
佐藤 大輔 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (60544393)
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研究分担者 |
高木 英樹 筑波大学, 体育系, 教授 (80226753)
大庭 昌昭 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (40303094)
西原 康行 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (50339959)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 自己身体認知 / 水中環境 / アスリート |
研究実績の概要 |
2020年度は、2019年度に確立した自己身体認知の評価プログラム(heartbeat detection課題および時間知覚課題)を用いて、特殊(水中)環境での長期間のトレーニング経験が、その環境における内受容感覚を高めるか否かを調べるための実験を継続実施した。 対象者は、10年以上の水泳歴を持つ大学水泳選手18名、水泳以外の競技経験のある大学生アスリート18名、一般成人18名であった。実験プロトコルは、陸上環境でのベースライン測定後、35°C(中立水温)の水中環境での計測をし、退水後に再び陸上での測定を実施した。測定項目は、自己身体認知の評価として、内受容感覚の正確性をheartbeat detection課題を用いて、感受性をMultidimensional Assessment of Interoceptive Awareness(MAIA)およびThe 20-itemToronto Alexithymia Scale(TAS-20)を用いて、気づきをvisual analog scale(VAS)を用いて評価した。 その結果、水泳選手を含むアスリートにおいて、一般成人と比較して、高い自己身体認知が認められた。これは、長期間にわたる運動トレーニングにおいて、感覚情報と運動情報を統合する経験を積んできたことによると考えられる。一方、環境の変化による自己身体認知については、いずれの対象者においても有意な変化は認められなかったが、もともとの自己身体認知の低い対象者では、一時的に水中環境に貯留することで、自己身体認知が高まる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己身体認知を評価する指標は確立でき、水中環境でも十分計測できることが確認できた。「水中環境では異なる自己身体認知が生じる」と仮説を立てて実験を進めてきたが、これまでのところそういった結果は得られていない。しかし、対象者に関わらず、水中環境に貯留することによって、自己身体認知が向上したことは、非常に興味深い結果であり、この知見をより詳細に検証していくことも検討する。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に目標としていた特殊(水中)環境での長期間のトレーニング経験が、その環境における内受容感覚を高めるか否かを調べるための実験を完了することができたため、国際誌への投稿を進める。これまでの研究において、水中環境への暴露が人の内受容感覚を変化させる可能性が示されたため、一過性の水中トレーニングや流水刺激介入によって自己身体認知を高めることができるか否かを検証する実験の準備に入り、2021年度後半には、実験を開始できるようにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
募集対象者が予定より減少したため、一部2021年度使用額が生じた。 2021年度に予定している実験への参加者謝金へ充当する予定である。
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