本研究は、生涯所得として求められる教育の経済的便益を個人のたどる経歴に沿って測定することを試みたものである。これまでの研究は、クロスセクショナルなデータを用いてある時点での教育の経済的便益を把握してきた。本研究はクロスセクショナルに同じインターバルで行われてきた調査データを疑似パネルデータ化することによって、出生コーホートに基づく教育の経済的便益を推定した。クロスセクショナルなデータでは、教育の経済的便益に変化がみられる。疑似パネルを使ってみると、コーホートによって時代の効果が相殺され、1950年から1960年代に生まれたコーホートでは、教育の経済的便益は均等化していることが推定された。
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